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インクルーシブデザイン

ユニバーサルデザイン(UD)に対して、インクルーシブデザイン(ID)と言う考え方があります。
UDが「できるだけ多くの人が利用可能にする」ことを目的とするなら、IDは「一人ひとりの違いに向き合いながらも、多様性やデザイン性を重んじるデザイン」だそうです。
UDは米国発(ノースカロライナ州立大のロナルド・メイスが提唱者)で、有名な「UD7原則」なる客観的な定義を持っているのに対し、英国発のID(英国王立芸術カレッジが発祥の地)はそのような定義はないんだとか。
"inclusive"には、少数派としてデザイン対象から除外(=exclude)されてきたユーザ層を「取り組む」(=inclusive)と言う意味があり、ビジネスとして成り立つメインストリームの開発を目指す多様なユーザーのためのデザインを目指しているそうです。

これを聞いて、Googleなどが提唱する"long tail"の思想に近いのかな、と感じました。時代は画一的・大量生産の時代から、多様的・少量生産の時代に来ていると言うことが、IDにもlong tailにも通じているようです。

インクルーシブデザインのひとつの事例が、"The Caddy"です。

http://www.rca.ac.uk/pages/news/challenging_design_3774.html

買い物や旅行に使われるカート。便利だけどなんとなく「ダサい」。若者が利用することは少ない。(日本ではそうでもないようですが。)
このThe Caddyは、そのような偏見をなくし、歩行器と買い物カートを融合した補助輪付きスーツケースだそうです。
2005年度デザイン・チャレンジ最優秀賞ノミネート作品。

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