サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

サイエンスのこと・テクノロジーのこと・ビジュアリゼーションのこと

「分野」のわな

カレーライスとハンバーグとラーメン、どれが一番おいしいか...?

仲間と議論するには面白い質問かもしれませんが、きっと客観的な答えはでないでしょう。例えば、うまいラーメンとまずいラーメン、と言うのは、まあ大方の意見は一致するでしょう。でも、うまいラーメンとうまいカレーライスのどちらがうまいか?と言われても、好き嫌いの問題になってしまう。なぜなら、それぞれが異なる食べ物だと考えられていて、同じ土俵にのっていないからです。同じ土俵に乗っていないと戦えないわけです。

ところで、「考えられている」とまわりくどい表現を使ったのは、そもそも「同じ」か「異なる」か、言い換えれば、同一分野(カテゴリー)か異分野かと言う判断そのものが、恣意的なものであることを意識しなければいけない、と思うからです。ラーメンにも、中華ラーメン、和風ラーメンがある。さらにインスタントラーメンもある。インスタントラーメンをラーメンのできそこない、と考えると「まずい」かもしれませんが、「インスタントラーメン」と言う食べ物の分野だと考えると、インスタントラーメンの中でうまい、まずいと言う判断が生まれる。ここで、そもそも「インスタントラーメン」なる分野は人が作りだしたものだ、と言うことです。

日本は雨が多いので、雨に多くの名前がついています。五月雨、霧雨、時雨、驟雨...。でもアメリカでは"rain"の一言。これに形容詞が付くだけです。反対に、アラスカでは雪の種類が何十種類もあるとか。それぞれの文化や生活によって、「分野」は作られているのですね。

良く「○○の分野でNo.1」になる!と言う目標がありますが、目標を達成する一番確実な方法は、新しい分野を作ることでしょう。とりあえずその分野には自分しかいないのですから!

copyright(c) 2008-, Atsuhiko Yasuda All Rights Reserved.