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史上最高のインフォグラフィクス

http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Joseph_Minard
数値や情報をイラストなどを使ってビジュアルに表現するインフォグラフィクス(Information Graphics)は、出版物の解説記事や展示場での説明など、日常の様々な場所で利用されています。単なるグラフではなく、説明するものを深く理解し、もっとも適したデザインを考え出すことで、見る人の興味と理解を拡大してくれます。
このインフォグラフィクスは、18世紀の後半にフランス人の土木技術者、Charles Joseph Minard氏が発明したと言われています。
Minard氏の最高傑作で、「史上最高のインフォグラフィクス」と呼ばれているのが、1869年に発表された「ナポレオンのロシア侵攻」。この一枚の図は、1812年のナポレオンのロシア侵攻に関係する情報を美しい図と情報でまとめています。図の全面に描かれた帯はナポレオン軍の兵士の数を表しています。左から右(侵攻=茶色)、右から左(撤退=黒色)と帯が徐々に細くなることで兵士の数の減少を表します。この帯の描かれた場所や方向は、進軍と撤退の地理上の位置も示しています。(ナポレオンはポーランドからモスクワへ、つまり、西から東へ進軍し、その逆の方向に撤退した。)
さらに撤退時のの気温の推移が、各位置に対応された形でグラフ化されています。撤退時の厳しい気温が伺えます。
グラフには主要な川が記入されており、極寒の状況で川を渡る際に兵士の数が大きく減少していることが読み取れます。(例えば、ベレツィナ側/Berezina Riverの前後を見てください。)

このように、Minardは一枚の図の中に、重層的な情報を整理して視覚的に表現することを実現しました。そして、この図は今でもインフォグラフィクスの手本とされているのです。

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