橋や建物の振動、必要以上に照らしている電灯、テレビや無線LANの電波、体温と室温の温度差、など、私たちのまわりには使われずに捨てられている小さなエネルギーが無数にあります。そういう小さなエネルギーを「拾い集めて」有効に利用しようと言うのが、エネルギーハーベスティング技術です。
原理的には昔から考えられてきた技術ですが、最近本格的に普及し始めているのは、発電機の性能向上とともに、電力を使う電子機器の省エネ化が進んだことが大きいそうです。今までは回収しても使い道がなかった小さなエネルギーが、実用的な利用が可能になってきているわけです。
今回サイエンスニュースで取材したオムロンでは、高速道路の振動で発電する振動デバイスを開発し、橋の異常などを検知するヘルスモニタリングシステムの電源として利用しようと実験を進めています。
また、兵庫県立大学の藤田准教授らは、振動発電機を人間にとりつけて、歩いたり走ったりしたときの振動で発電すると言う研究も行なっています。
その他にも、エネルギーハーベスティング機器の開発は国内外で活発化していて、将来様々な場所にエネルギーハーベスティング技術が使われるかもしれません。
日本はこの分野で遅れていると言われますが、「もったいない」文化を持つ日本ですから、きっと巻き返してくれると信じています。