サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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新聞社の栄枯盛衰〜Journalism's Voyage West

http://www.stanford.edu/group/ruralwest/cgi-bin/drupal/visualizations/us_newspapers

インターネット上のソーシャル・ネットワークがメディアの世界を大きく変えつつある。これからの数年間でおこることは、おそらく私たちが今まで持っていたメディアの概念を大きく変えるだろう。しかし、そもそも私たちが「慣れ親しんできた」メディアは、どのように発展してきたのだろうか。もっとも身近で当たり前の存在であったメディアのことを、私たちは案外知らないことに気がつく。メディアの歴史を振り返ることも、新しいメディアへ移行するための儀式かもしれない。

米国本土の新聞社の推移をインタラクティブなインフォグラフィック・コンテンツとしてまとめたのが、スタンフォード大学のBill Lane Centerによる、"Journalism's Voyage West"だ。

このコンテンツに触れることで、300年以上にわたるアメリカの新聞の歴史を知ることができる。
1690年に東海岸(ボストン?)に米国で初めて新聞社が作られ、1720年ごろから徐々に西海岸へ向かって新聞社の拡大が始まった。当初は東海岸から東部内陸部のみに広がっていた新聞社が、突然西海岸に現れるのが1800年代の中頃、ゴールドラッシュの時代だ。
1860年代には大陸を横断する電信や鉄道が完成し、西海岸でのメディア活動が本格化する。この東海岸と西海岸への「分断」は地理上のものだけにとどまらず、社会的立場も二分した。奴隷制度への意見の相違である。やがて始まる南北戦争は、新聞社、すなわちメディアによる世論形成が陰の要因になったと言われる。
1800年代の後半から新聞社の数は急激に増加し、1900年代初頭には1万7千社をこえた。実はここが新聞社の数のピークで、その後新聞社の数はゆるやかに減少に転じ、第2次世界大戦の終わるころには1万5千から1万4千社になり、その数はほぼ現在と変わらない。

スタンフォード大学インタラクティブなコンテンツは、適切に切り取られた情報を、ユーザの意思に応じて伝えるインフォグラフィクスの良い事例である。

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