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誰が誰にお金を借りているか〜BBCによるヨーロッパ諸国の借金相関図

http://www.bbc.co.uk/news/business-15748696
ギリシャに端を発した信用不安は、イタリア、スペインと飛び火し、EUはもちろん、世界全体の経済へ暗い影を落とし始めている。少し前まで、国が「借金で潰れる」等と言う発想は(少なくとも僕のような一般人には)無かったと思う。それが、今、現実のものになりつつあると言う。しかも、名前も知らないような小国ではない。世界史や地理の教科書に登場するような、伝統ある大国が、だ。
BBCによる、「ユーロ圏の借金相関図」は、シンプルであるが、全世界共通の関心に答えてくれると言う点で、タイムリーなインフォグラフィクスだ。円形に並べられたヨーロッパの主要国(と米国、日本)。国名をクリックすると、その国が他の国にどれくらい借金しているかがわかりやすいビジュアルで表される。
このインフォグラフィクスから様々なことが明らかとなる。例えば、イタリアの最大の債権国はフランス。イタリアの信用不安がフランスに連鎖することが容易に理解できる。一方、ポルトガルは隣国スペインから多く借金している。スペインは「借金大国」だ。その借入先は、この図にあるだけでも7カ国にもなる。
各国の危険度は色で示される。今、話題になっている、ギリシャ、イタリアが「赤」であるのは当然として、スペイン、そして、フランスの「黄色」も要注意だ。我が日本は、灰色、すなわち比較的安全と評されている。確かにGDPに対する対外借金を見ると、各国の中でもっとも少ないようだが、あくまでも他国に対する借金の比率を見ているだけなので、安心してはいけないのだろう。

そもそも、これだけ複雑な「貸し借り」がある状態では、一つの国の経済はその国だけを見ていてもわからないだろう、と言うことは明らかだ。世界経済が「借りた者勝ち」ではないことだけは祈りたい…。

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