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ロケットは何回宇宙へ行ったか〜 "Space Launches" by MIT Technology Review

http://www.technologyreview.com/computing/38339/
今年、スペースシャトルが引退した。物心ついた頃から米国の有人宇宙活動をあこがれの眼で見てきた僕にとって、ひとつの時代の終わりを感じる、感慨深い出来事だ。世界の科学技術の「アイコン」のひとつであった米国の有人宇宙開発が、途切れてしまうなんて...。

MITのインフォグラフィクス"Space Launches"は、7000回を超える人類のロケット打ち上げの全貌を可視化したものだ。1950年代から始まったソ連(ロシア)と米国の宇宙開発競争。この2国の打ち上げ回数は突出しているが、特にソ連/ロシアは軍事目的を中心に、米国の2倍の打ち上げを行ってきたことがわかる。70年代から90年代前半まではロシアが圧倒的な打ち上げ回数を誇っている。普段軍事関係はニュースにならないこともあり、こんなに差があるとは思わなかった。
我が日本を見ると、両国に大差をつけられれているとは言え、世界第三位。ヨーロッパで宇宙開発を引っ張るドイツやフランスの3倍以上の多さで、意外に頑張っている。正式な軍を持たない国としては、よくこれだけ打ち上げが行えたと思うし、その点では、日本は宇宙開発には理解がある国だと言える。もっとも、もうすぐ中国に抜かれて世界第4位になることは確実なようだが。

東北大震災の余波はエネルギー革命につながりつつあり、一方で世界全体は経済危機に陥いり、各地で民主化や貧困によるデモが相次いでいる。スペースシャトルの引退は、「しばらくは地に足をつけて考えろ」と言う神の声なのだろうか。その次の飛躍への、良い充電期間になることを祈りたい。

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