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サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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未来のインタフェースはどうあるべきか:Bret Victor氏の不満(その1)


"Productivity Future Vision"は、人間とコンピュータとのインタラクションの近未来を描いた、マイクロソフト社のコンセプト・ムービーだ。この映像は、おそらくマイノリティ・レポートのように、ヒューマン=コンピュータ・インタラクションに携わる人々にとって重要な「指針」になるだろう。それが正直な第一印象だった。

しかし、この映像にかみついた人がいる。アップル社でヒューマン・インタフェースの開発に携わっていたエンジニア、Bret Victorだ。Victor氏は、「目指すべき未来のインタフェースは、ここに描かれているようなものではない」と、自身のブログで主張している。その意見はデザイナーやエンジニアにとって有益なものと感じたので紹介したい。

私も未来のインタラクション・デザインに携わってきたが、この映像(Productivity Future Vision)は、まったく示唆を与えていない。ここにあるのは現在の技術の延長でしかない。そして、現在の技術はまったくひどいものだ。ビジョンと言うからには、人々に方向性を与え、行動を触発するものでなければならない。

と、Victor氏は、歯に衣着せぬ意見を展開している。氏はまず、ツールとは何かについて語っている。
http://worrydream.com/ABriefRantOnTheFutureOfInteractionDesign/

未来のツールを語る前に、そもそもツールとは何かを考えよう。私が好きな定義は、「ツールとは、人間の能力を拡張して、人間の欲求をかなえるもの」と言うものだ。つまり、ツールは、「私たちができること」を「私たちがやりたいこと」に変換するもので、良いツールはその両方が満足されていなければならない。
ここで私は、人間の欲求やテクノロジーについて語るつもりはない。それらは他の場所で十分語られている。私が語りたいのは、しばしば無視される第3の要素、人間の能力について、だ。なぜなら、人間が使うことを考慮されていないツールは、良いツールにはなり得ないからだ。

そして、Victor氏は、私たちの手の「機能」に着目する。

手は2つの、驚くべきことをやってくれる。私たちは日々それらに頼って生活している。しかし、この映像(Productivity Future Vision)では、そのどちらも使われていないのだ。
その2つとは、手は感じることができ、手は操作することができる、と言うことだ。
本を手に持って開いてみてほしい。左右の手の重さの違いや、指にはさまれた厚さで、今、本のどのあたりを開いているかを知ることができる。水の入ったコップを持って、飲んでみて欲しい。傾けたときの重さの変化で、コップの中にどれくらいの水が入っているかを知ることができる。
世の中のほとんどのことには、この種のフィードバックがある。当たり前すぎるので、私たちは気づかないのだ。。。。。触るという感覚は、「仕事」と呼ばれるあらゆるものにとって本質的なものだ。

どうだろうか。「触る」と「操作する」と言う、手の2つの機能。それに着目するのが未来のインタフェースには必須である、と言う視点。確かに、私たちは当たり前のことに気づいていないようだ。
その2に続く>

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