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海流の可視化映像に圧倒される:NASA Perpetual Ocean

コンピュータと計算アルゴリズムの進化によって、コンピュータ・シミュレーションが扱う対象は、どんどん広がっている。少し前のシミュレーション計算は、あくまでも特定の制約と仮定の下での、現実の世界とは異なる「ある架空の計算結果」でしかなかった。しかし今や、シミュレーションは「その現象に影響を及ぼす全体システム」をほぼ扱えるようになってきている。つまり、(まだ不足はあるとは言え、一応)現実の世界の表現に近づいてきた。

そんな進化の著しいシミュレーションの中でも飛び抜けたもののひとつが、NASAゴッダード宇宙飛行センターのScientific Visualization Studioによる、地球全体の海流シミュレーション計算ではないだろうか。この可視化映像を初めて見たときは、ただ圧倒された。
このシミュレーションは、2005年6月から2007年12月までの2年半の地球規模の海流をシミュレートしたもの。計算モデルにはNASA/ジェット推進研究所(JPL)が開発したECCO2を使用している。このモデルは、熱や水面だけではなく海中の流れや海氷まで高い解像度で再現できるものだ(映像では海洋表面の流れだけを可視化している)。

この映像では、地球の海洋全体の複雑な海流の流れが、圧倒的な迫力で可視化されている。これは、シミュレーションと可視化でしか認知できない現象と言う点で、現実の世界を超えた現実世界のシミュレーションと言えるだろう。

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