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データ・ビジュアリゼーションで陥りやすい4つの過ち

Visual.lyの最近のブログに、「データ・ビジュアリゼーションで避けるべき4つの過ち」と題した投稿がある。基本的なことだが知っておくべきことだと思ったので、概略をまとめてみた。


過ち1.データよりプレゼンテーションを重視する
ビジュアリゼーションを「面白く」「かっこよく」するために、データを軽視してプレゼンテーションだけに力をいれてはいけない。
例えば、下の作品は軸も目盛りもないのでデータを定量的に把握できない。見栄えは良いが、ほとんど役に立たないのだ。
http://blog.visual.ly/data-visualization-mistakes-to-avoid/


過ち2.詳細を見せすぎる
リッチなデータを手に入れると、ユーザーに詳細なレベルまで見てもらいたいと言う誘惑に駆られる。しかし、もしユーザーが詳細を見たいなら、(可視化したものなど見ずに)データそのものを見るだろう。ビジュアリゼーションは「ストーリー」を語るに十分であれば良く、やり過ぎるとむしろストーリーは隠れてしまう。
http://blog.visual.ly/data-visualization-mistakes-to-avoid/


過ち3.操作の説明がない
インタラクティブなコンテンツはユーザの興味を集めやすい。しかし、操作方法の説明がなければユーザは最初のページをただ眺めているだけかもしれない。
最初のページ、あるいはユーザが最初にみる部分は、そのコンテンツの良い「練習」にもなる。
また、ハイパーリンクには下線を引くなど標準的な表現を使うことは有用だ。
http://blog.visual.ly/data-visualization-mistakes-to-avoid/


過ち4.実験作品になってしまう
今までにないアイデアは、良いアイデアとは限らない。最初に閃いたアイデアにとらわれがちだが、ビジュアリゼーションはまず白紙から始める方がよい。そして最終形にいたるまでに10から20の方法を試すべきだ。その過程でデータについて新しい発見があるかもしれない。例えば下のような「ふにゃふにゃした形」は定量的な比較には向いていない。棒グラフやエリア・グラフを使う方がずっと良い。

http://blog.visual.ly/data-visualization-mistakes-to-avoid/

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Visual.lyブログのこの意見、どうだろうか。僕は、この意見は正論であるが教科書的すぎるようにも思う。結局は見る人の「ビジュアリゼーション・リテラシー」と、「場の空気」を読んだ上での可視化とインパクトのバランスの問題だと思う。少なくとも、「わかりやすい」と「伝わる」は同義語ではない。ビジュアリゼーションには、対象者がその情報を知ろうと言うモチベーションを高める役割も必要だと思う。このあたりはいつかあらためて、まとめてみたい。

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