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「つながる」より前にやるべきこと

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EメールやSNSを通じて、イベントや集まりの案内が毎日のように届く。それぞれの人が様々なネットワークを作り、活動している。そう、現代は「ソーシャル・ネットワークの時代」なのだ。「みんなでつながろう。そうすれば、良いことがある。」そんなメッセージが形を変えてやってくる。
でも、僕は今のところ、そのような集まりに参加することには気が乗らない。


つながること=ネットワークには掛け算の効果があるそうだ。10のリソースを持つ人と同じく10を持つ人が出会えば、10X10=100の効果があると言うのだ。なるほど。これはわかりやすいたとえだ。
では、0.5の人と0.5の人がつながったらどうなるだろう。0.5X0.5=0.25、一人でやった方がましだと言うことになる!


つまり、ネットワークの効果は、つながる人が一定以上の力を持っていて初めて、プラスに働く。しかし、個々の力が不十分だと効果が無いどころか、残念ながらマイナスに働く恐れが大きい。

けっして「つながる」ことが悪いと言っているのではない。ただ、つながる前に、個々が十分な力を持ち、また、そのための努力をしていることが前提だと思うのだ。つながるより前に、「つながるに値する人」にならないといけないのだ。


例えば、ものづくりの衰退の話をするといつも、「日本は良い技術を持っているし、良いものを作っているが、販売戦略がないことが失敗の原因だ。技術だけでなく、マーケティングやデザインの専門家と共同で売れる物を作るべし」と、おきまりのコメントが出る。でも、僕自身、以前メーカーにいた経験から、これは間違った認識だと思う。
衰退の最大の原因は、技術も企画も販売も、個人個人の能力が低下していることだ。日本はすでに、アイデアや品質の面でも販売の面でも、良いものを作れなくなっている。その事実を、敏感な消費者に見透かされているにすぎない。


今、僕がやるべきことは、プロフェッショナルとしての力を高めることであり、そのための努力をすることだ。
そして、掛け算の効果が出るような「つながる価値のある人」になれた時、つながる人を探しに出かけたい。

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