太陽の発する光と放射線は常に地球に降り注ぎ、それによって、海流や気候など、現在の地球上の営みが支えられている。太陽から地球まで、すべての自然の営みは深く関係しているのだ。
そんな自然の営みを解明する様々なシミュレーション計算を、ひとつにまとめた壮大な可視化映像が、NASAによるDynamic Earthだ。
太陽から地球に到達する太陽風の計算には2つの計算モデルが使われている。ひとつはENLILと呼ばれる太陽圏の電磁流体モデル、もうひとつはBATS-R-USと言う、太陽風プラズマの計算モデルだ。入力として、ACE衛星やSTREO衛星の観測データが使われている。2006年に実際に起きたコロナ質量放出(CME)を再現しているそうだ。
地球大気圏の映像に使われているのは、"Modern-Era Retrospective Analysis for Research and Application (MERRA)"モデルと、"Goddard Earth Observing System Data Assimilation System Version 5 (GEOS-5)"等を使った計算モデル。そして海流の計算に使われているのは、先日ブログで紹介した”Estimating the Circulation and Climate of the Ocean, Phase II (ECCO2)"だ。
NASAの英知を結集した、オールスタープレーヤーによる可視化。作り物ではない、本物の自然にせまる迫力がある。科学的な価値もすごいが、太陽から地球まで、様々なスケールの自然の営みが深く関係し絶妙なバランスの上に成り立っていることを計算科学でここまで解明できることに感動する。
計算機の上ですべての宇宙の営みが再現される日は来るのだろうか。