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増え続ける武器の売買:Arms Trade by Google

http://workshop.chromeexperiments.com/projects/armsglobe/

Googleの実験プロジェクト、ArmsTradeは、世界主要国の武器の輸出入の量と輸出入先を可視化したものだ。

Arms Tradeの画面下部にあるスライダーを動かせば、武器の売買量、特に輸出が増えていく様子が読み取れる。データは1992年から2010年にわたる。中央の地球上で国名をクリックすれば、その国の「武器の貿易収支」がわかる。MITのNYTEプロジェクトを思い出させるインタラクティブデザインは、小気味良く、美しい。しかし、その背後にあるデータを思うと恐ろしくなる。

毎年450〜600億ドル(3兆6千億〜4兆8千億)の武器が世界中で売買され、そのうち大半(約75%)は発展途上国への輸出である。
国連の常任理事国である米国、ロシア、フランス、英国、中国の5カ国に、ドイツ、イタリアをあわせると、2002年から2009年の武器売買の85%を占める。世界中で増え続ける紛争による死者の8割は民間人で、その9割は小型兵器によるものだと言う。
冷戦後いったん減った世界の軍事支出の総額は、1998年以降増加し、冷戦前のレベルに戻っている。その総額は1.6兆ドル(128兆円)。
http://www.globalissues.org/issue/73/arms-trade-a-major-cause-of-suffering

死の商人」と言う言葉も最近聞かれなくなった。武器はもはや電化製品や自動車と同じく、その国の経済を支える割の良い輸出製品と言う感覚なのか。個人レベルでは恐ろしい感じても、国家レベルの武器輸出はなくなるどころか逆にエスカレートしていく。

人間としての感覚と現実におきていることが相反するのなら、現在のシステムに何か問題があると考えても良いのではないだろうか。

※武器輸出のデータと解説はArms Trade—a major cause of suffering — Global Issuesにまとめられている。

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