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Wikipediaにおけるジェンダーバイアス:Wikipedia Gender by NY Times

http://moebio.com/research/wikipediagender/#tv_programs&films&books&emotions&cities&sports&from_list
今やネットでの「調べ物」のデファクトスタンダードと言えるWikipedia. 登場当初はその信頼性に疑問の声も多かったし、学生レポートの「コピペ」先としても槍玉に上がるサイトであるが、いつのまにかWikipediaへの違和感はなくなり、必須のツールとして君臨している。
はたして「集合知」は勝利したのだろうか。

NYタイムズ紙に掲載されたインフォグラフィクス、"Wikipedia Gender"は、Wikipedia各テーマごとに、編集者の男女割合を調べプロットしたものだ。横軸は男性編集者の数、縦軸は女性編集者の数を表す。一見、ほぼ対等かと錯覚するが、横軸と縦軸のスケールは10倍違う。男女の数が同一のラインは左端にほぼ垂直に引かれた紫のライン。つまり、ほとんどのテーマで男性編集者の数は、女性編集者を圧倒している。

つまり、Wikipediaの記述のほとんどは男性によって書かれている。それが短絡的に男性視点のバイアスがかかっていると言えるかどうかは不明だが、少なくとも「あらゆる人が参加することによって公平な」集合知とは言えない。

もっとも「男高女低」の傾向はWikipediaにかぎらず、ICT系のほとんどの分野に言えることだ。けっして女性に向いていないとは思えないICTが、なぜ女性から敬遠されるのか、専門的な分析に期待したい。

ICTが女性にとって「素敵な」職業になれば、男性にとっても、さらに魅力的な仕事になるだろうから。

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