サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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ウェブ・インフォグラフィクスの新時代?:Imigration in America

http://mtv.good.is/election2012/immigration
マクルーハンが「メディアは模倣する」と述べたように、新しく登場したメディアは、従前のメディアの代用として現れる。例えば、映画の黎明期、フィルムに映っていたのは演劇だった。テレビが放送を始めた時、人々はお茶の間で映画を楽しんだ。やがてそれらのメディアが受け入れられるに連れ、メディアは独自の発展を遂げていく。映画は映画にしかできない表現を追求し、テレビはテレビだけの世界を作った。

現在もっとも大きな影響を与えるメディアとなったウェブも、同じ進化を遂げると考えるのは自然だ。

ウェブのもっとも大きな武器は「インタラクティブ性」だろう。印刷物や映画・テレビでは不可能だったリアルタイムの双方向性が、ウェブを今までにないメディアにしつつある。

進化し始めたウェブは、もはや他の何かに例えることはできない。ウェブは「ウエブ」としか言いようがなく、他の何者でもない。(あえて例えるなら、最先端を走る孤高の現代アートだろうか。)


このようなことを、Web技術によるインタラクティブ・インフォグラフィクス、"Imigration in America"を観て感じた。

このサイトにアクセスすると、まず、ブラウザいっぱいに広がるポスターのようなデザインに驚く(余談だが、冷戦時代のロシアのポスターのように感じたのは僕だけだろうか)。
スクロールバーを下げながら内容をたどり始めると、スクロールバーがコンテンツの移動と、アニメーション進行の、2つの機能を持っていることに気がつく。縦に長いページは、セクションに別れているようにも、ひとつながりのコンテンツにも見える。境界の概念も曖昧になっている。

このサイトが、緻密で斬新な未来のデザインなのか、荒削りで粗野な実験サイトなのか、僕には判断がつかない。このサイトを理解するためには、今までのメディアをすべて捨て去り、来るべき新たな時代を心に思い描くしか無い。今、書けるのはそこまでだ。

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