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日本の「危うさ」を見る:OECD統計・各国政府の財政赤字


新政権の経済政策へに期待する声が大きくなってきた。年末から円安・株高が続き、株式市場は沸き立っている。
大規模な金融緩和と公共投資によるデフレ脱却。耳障りの良い言葉だ。一国民として大いに期待したい気持ちはある。しかし、その一方で、何か「一抹の危うさ」も感じる。

懸念の源は、しばらく前からじわじわと悪化している日本政府の財政状況にある。普段の生活では日本政府の財政状況など実感することはないし、まさか日本政府が破綻することはないだろう、と気楽に考えてきたが、最近、大規模な財政支出ができる状態なのか?本当に日本は破綻しないのか?と言う問いに、どうも納得できる答がないことがわかってきた。

OECD統計データベースに"Government Deficit(政府の歳入不足)"と言うのがあったので、インフォグラフィクス化してみた。政府歳入のGDPに対する比のデータを、プラス=歳入超過を青色で、マイナス=歳入不足を赤色で表した。

これを見ると、
・各国の財政赤字は、2009/2010年がもっとも酷い。その後回復しつつあるが、まだ2007年レベルには戻っていない。
・日本、米国、英国など、経済・金融のリーダー的な国ほど財政状況が悪い
・中国やインド、ブラジルなどの新興国も赤字基調が続いている
ノルウェーだけは飛び抜けて高い黒字を保っている
などが読み取れる。本題である日本の財政赤字は、OECD各国の中の最下位だ。つまり、ギリシャやスペインよりも悪い。

僕は経済の専門家ではないし、このデータだけで比較や判断はできないのかもしれない。ただ、控えめに言っても、日本の経済の先行きについての「一抹の不安」を払拭するデータは見つかっていない。

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