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人混みシミュレーション:Aggregate Dynamics for Dense Crowd Simulation

http://gamma.cs.unc.edu/DenseCrowds/

2009年のSIIGRAPH Asiaに掲載された、"Aggregate Dynamics for Dense Crowd Simulation(人混みシミュレーションのための集合体力学)"は、「人混み」と言う、物理と人間のはざまにある現象をシミュレーションで再現するものだ。

このシミュレーションのポイントは、人混みを個人の離散モデルと、総体としての連続体の両面から解析していること。密度の低い場所では個々人は比較的自由に動くが、密度の高い場所では周りの動きの影響をより強く受け、連続体として動くようになる。この2面性をつなぐために導入したのが「偏非圧縮性」(注:"Unilateral Incompressibility"を僕が勝手に訳したもの。正確な訳語があるかもしれない)。「偏非圧縮性」とは人は他人と一定以上の距離を取ろうとするため圧縮方向には制約があるが、離れる方向には制約がないような性質に対応する。この性質によって、人混みはある密度以上にはならない。この挙動は、粉体の物理に似ているそうだ。

シミュレーションの可視化映像を見ると、個々の人がある程度自由に、しかし、混みいった場所ではまわりに影響されながら動く「渋滞」の様子がわかり、確かに本物の人混みが再現されているように見える。

(以上は、説明にざっと目を通して書いたものなので、舌足らずで、間違った理解もあるかもしれない。より正しく詳しい手順は論文を参照してほしい。)

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