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サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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日本はもはや安全な国ではない?:"Dangerous travel: Countries to avoid"

http://www.cbc.ca/news/interactives/travel-warnings/
日本は世界でもっとも安全な国の一つ ーーーーー そんな自慢は、今やできなくなったようだ。

上のチャートは、カナダ外務国際貿易省が海外渡航する国民のために提供している旅行安全度マップ。正確には、今年4月4日時点の同マップを、米CBCが記事にしたものである。このマップによると、日本の安全度は世界でも中程度、「一部地域を避けるべき」とされている。これは米国やヨーロッパ諸国はもちろん、中国やウクライナよりも低い評価で、ロシアやエジプトと同等の安全度と言うことになる。

このような低い評価になった理由は、福島の原子力発電所事故にある。今もなお、福島原発の周囲の一定の地域は勝手に立ち入ることはできないことが、日本に対する低い評価の裏にある。僕たちは日本の「危険度」が、テロや犯罪が主である他の国の危険度とはまったく素性が異なることは知っている。しかし「危険度」というシンプルなものさしで見れば、このマップのような評価になる。少なくとも海外の目から見れば。

今回は僕が日本人であるから日本の評価に違和感を感じたのだが、もしそういうことがなければ、ここで提供された情報に疑問を感じることはなかっただろう。例えばエジプトやインドやアルジェリアについて、このマップの評価を何も考えずに信じるだろう。その国によほど精通した人でなければ、このマップ以上に何ら情報や根拠を持っていないのだから。

可視化の背後には、常に何らかの尺度があることを忘れてしまいがちだ。情報をわかりやすく提示するほど、細かな差異は削り取られ、「間違いではないが誤解を招く」恐れがある。可視化では、このことを十分注意しておかなければならない。

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