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2030年、もはや発展途上国は存在しない:River of Myths, Hans Rosling


世界でもっとも有名な統計学者、ハンス・ロスリング。世界の公衆衛生を分析する内容が面白いだけでなく、個性的で迫力ある喋り方とアニメーションを活用したプレゼンテーションは、可視化や情報理解の分野でもトップランナーのひとりだ。
そのロスリングが、発展途上国について語った映像、"River of Myth"が今年初めに公開されていたので、日本語に訳してみた。

この図のように、50年前の世界には大きな格差がありました。
それぞれの円が国を表しています。円の大きさは人口で、青はアフリカ、赤はアジア、黄色はヨーロッパ、緑はアメリカです。
縦軸は乳幼児死亡率。上端は5歳までに30%もの子どもが死んでいると言うこと、下端は0%、つまり、ほとんど死んでいないと言うことです。横軸は女性一人あたりの子供の数で、8人から2人以下までの範囲にあり、ほとんどの国では右上のあたり、6人から7人でした。どの家庭も一人以上の子どもを失っていました。

多くの人は、世界はいまだにこのように、先進国と発展途上国とにわかれていると思っているでしょう。
それは神話です。世界は急激に変化しているのです。見てみましょう。


年々、ほとんどの国で乳幼児死亡率は下がり、女性が生む子どもの数は減りました。その結果、一人の子どもにかける時間とお金は増えてきました。


1990年までに、いわゆる発展途上国の一部はすでに左下に来ています。他の一部は真ん中あたりにあり、高い死亡率のままの国もあります。
エチオピアは何十年もの間、飢饉と政治的不安定に苦しんできました。多くの人はエチオピアはまだ同じ状態だと思っているでしょう。1990年以後の変化を見てみましょう。


地方の医療サービスの改善によって、乳幼児死亡率は劇的に改善しました。家族計画の知識も向上し、女性が望む子供の数はどんどん減りました。エチオピアは今や真ん中まで来ています。そして、急速に左下に移ろうとしています。


しかしエチオピアにはまだ課題があります。エチオピアの円を分割してみましょう。
首都アジスアベバは左下にあります。一方、地方にあるソマリアはいまだに高い死亡率です。ほとんどの地域、人口の90%は平均的な位置にいます。


アフリカの問題は解決できないと思っている人も多いでしょう。しかし、多くの国はエチオピアを追いかけています。2030年の世界はこのようになっていることは、十分あり得えます。かつて発展途上国と呼んでいた場所には、もはやひとつも国はありません。
これを実現するには、国々が発展することが必要です。「神話の川」を渡るための、行動が必要なのです。

発展途上国」が無くなることは良いことだ。しかし一方で、目標を失った社会でもある。ある意味で「ひずみ」があるから、経済や人の心が動く。全てが「裕福」である社会は不可能ではないかもしれないが、実際には難しいと思う。人は相対的な判断しかできないからだ。
今言えることは、少なくとも社会の価値が、資産や物質の量ではなく、人間中心に測られることを望みたい、と言うことだ。

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