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アシアナ航空214便に何があったのか: Aviation Safety Networkの分析

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7月6日、サンフランシスコ国際空港で韓国アシアナ航空217便が着陸に失敗、2名が死亡、168名が重軽傷を負う惨事となった。その原因は現在調査中だが、着陸時に何らかの「異常」があったと伝えられている。

米国で航空事故に関する情報公開を行っている独立組織、Aviation Safety Netoworkが、アシアナ航空の着陸経路を可視化したインフォグラフィクスを公開した。事故が発生した7月6日と、その前日、前々日の同便の着陸経路を、それぞれGoogleEarth上の3次元空間にプロットしたものだ。なお、機体はすべて事故機と同型の777-200ERだ。

最初の侵入経路が異なるため、上図の角度では高度の違いがわかりにくい、例えば、青の線の高度は全経路を通じて低く見えるが、これは空間的な位置関係による「錯覚」だ。そこで経路ラインの横に付された高度標記で判断すると、事故が起きた6日のフライト(赤線)はある地点から急速に降下し、着陸直前の高度が他の便よりかなり低いことが分かる。

この経路の違いがなぜ起きたのか、また、その違いが事故と直接結びついているのかは調査の結果を待つしか無い。しかし、公開されているデータだけから、少なくとも、どのような違いがあったのかを知ることはできる。

主観的な情報で人々の怒りや不安を煽るだけではなく、まずは事実を入手しわかりやすく伝える、このようなデータ・ジャーナリズム的な情報発信や報道が、日本でももっと行われるべきだと思う。

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