今、僕たちが目にしている商品には、素材、加工、流通、保険、販売など、様々な人々が関与している。その背後には複雑な経済システムがある。しかし、その基本は「価値を生み出した人に、それに応じた報酬が与えられる」ことのはずだ。
ニューヨークにあるコンサルティング会社、O’Rourke Group Partnersは、バングラデシュで作られ、カナダで販売されてるTシャルのコストを調査した。その調査結果をまとめたものが、上のインフォグラフィクスだ。
14ドルの値札がつけられたTシャツの小売価格は、5ドル67セント。そして、そのうち、バングラデシュの労働者にわたる報酬は、たったの12セントにすぎない。
価値と報酬のアンバランスは誰が見ても明らかだ。たとえ、グローバルに分業が進む複雑な経済システムや、各国の経済力の違いというファクタを鑑みても、この分配はフェアと言えるだろうか。それは、普通の人(この経済システムの既得権益と関係がない人)なら誰でもが直感的に感じることだと思う。
そして、このインフォグラフィクスを見れば、どこを合理化するのがよいのかも見えてくる。大きなパイのある場所には、無駄がある可能性も高い、というのは経営学で学ぶ基本だからだ。
価値を生み出している人に、それに応じた報酬が与えられる。そんな「当たり前のこと」を実現するシステムを作ることができれば、世の中はきっと良くなるだろう。デフレやインフレはその結果にすぎない。
「当たり前の社会」が、当たり前ではなくなっていることに早く気がつき、変えていかねばならない。