世界最大の「知の集積」、Wikipedia。人類初とも言えるこの集合知は、世界中の人の絶えまない貢献によって、拡大を続けている。
Stephen LaPorte と Mahmoud Hashemiのプロジェクト'Listen to Wikipedia'は、Wikipediaに加えられた編集を、サウンドとビジュアルでリアルタイムに可視化する作品。Wikipediaの編集状況が概観できるだけでなく、サウンドとビジュアルがシンクロしたミニマルな表現は、「禅(ZEN)」の世界のように美しい。
'Listen to Wikipedia'では、次のようなルールで、Wikipediaの編集作業を可視化する。
- ベルの音はWikipediaへの加筆を、弦の音は削除をそれぞれ表す。編集された記事の情報は円とテキスト(記事名)で表示される。
- 音の高さと(おそらく)円の大きさは、修正の量に関係づけられている。
- 円の色は編集の種類を示す。緑色は非登録の編集者による修正、紫色は自動ボットによるもの。
- 新しい編集者が参加すると、上部のバーにその名前が表示される。新しい参加者にメッセージを送りやすくするための工夫。
- 左下には1分間あたりいくつの修正が行われているかの数字も表示されている。
画面を下にスクロールすると(あるいは'About'をクリックすると)、どの言語のWikipediaを可視化するかを選択できる。なお、日本語を見てみたが、その更新頻度は英語版に比べてはるかに少なく、言語による情報格差の可視化にもなっている。インターネットの公用語は英語なのだ、と実感できる。
’Listen to Wikipedia'は、'Listen to Bitcoin'に着想を得て作られたそうだ。D3とHowlerJSのソースコードは、GitHubで公開されているのも嬉しい。
オフィスの壁にプロジェクターで大きく投影して、一日中眺めていたいような可視化作品だ。