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幸福はお金で買えるか?:Money Buys Hapiness? by Jonathan Hull

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「幸福はお金で買えるか?」人生の中で誰もが考えたことがある質問だと思う。デザイナー、ジョナサン・ハルも、その一人のようだ。ハルは、コロンビア大学の"World Hapiness Report"を元にして、各国の富と幸福度を比較するインフォグラフィクス、'Money Buys Hapiness?'を作成した。


このインフォグラフィクスでは、各国の富は、CIAのThe World Factbookを元にした一人あたりのGDPで、幸福度は、「キャントリルの梯子」と呼ばれる自己アンケート方式の指標で、それぞれ表わされている。


全体的な傾向としては、国民の富と幸福度は相関している。つまり、富が増えれば、幸福度は増える。しかし、富や幸福度が最も高いのは、けっしてアメリカやヨーロッパの大国ではない。上位に位置しているのは、ノルウェー(NO)、スイス(CH)、カナダ(CA)、オーストラリア(AU)、デンマークフィンランド(FL)、スウェーデン(SE)といった国々である。


ハルは彼のブログでこんな発見を語っている。「面白いのは、トレンドから外れている国々だ。香港(HK)、日本(JP)、シンガポール(SG)は、国民の富が高い割には、幸福度は低い。一方、コスタリカ(CR)やウズベキスタン(UZ、注:図にはキャプションがない)は、富は低いが幸福度が高い。」


このインフォグラフィクスからわかることは、国民ひとりひとりの富や幸福は、必ずしも総体としての国力とは関係ない、ということだ。たとえ大国ではなくても、国民一人一人がその地域や歴史、文化にあった生き方をしている国が、富める国であり、幸福な国なのではないだろうか。


GDPがどうだとか、貿易収支がどうだとか、そんな「国家」の指標を見るのではなく、もっと「国民」の指標に目を向けるべきなのだ。それが幸福への第一歩だと思う。

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