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アップルの未来の社屋が目指すもの:Apple Campus 2

http://www.apple.com/environment/climate-change/

アップルが建設予定を進める新社屋、通称'Campus 2'(キャンパス2)。まるで地上に降り立ったUFOのような巨大な円形の建屋のイメージ・イラストは、世界中の話題になった。これほど未来的な建物はないだろう。しかし、未来的なのは建屋の外観だけではない。'Campus 2'は、環境面でも世界最先端のオフィスビルを目指している。


アップルはこれまでに、環境への配慮を具体化するさまざまな施設・設備を導入してきた。たとえば次のようなものだ。

  • 夜間、気温が低い時に水を冷却し、貯蔵するシステム
  • バイオガスを利用した燃料電池ファーム
  • 民間では国内最大の20メガワットのソーラーアレイ(太陽電池パネル群)
  • 灌漑用水路を利用した小水力発電システム


これらの再生可能エネルギーは、すでに、アップル内の設計・生産活動やデータセンターの電力の多くをまかなっているという。しかし、アップルは現状で十分だとは考えていない。「キャンパス2」の取り組みを伝えるアップルの記事の冒頭には、こう書かれている。

デザイン、組立、出荷、そして、世界中で行われているコンピュータの利用。これらの活動は膨大なエネルギーを消費しています。そのエネルギーの一部は化石燃料を燃やすことで作られ、二酸化炭素を排出し、気候変動の一因となっているのです。私たちは二酸化炭素排出量の削減に懸命に取り組み、成果も得られつつあります。しかし、まだやるべきことはたくさんあります。


このような環境面でのアップルの取り組みの集大成が、新社屋'Campus 2'なのだ。この未来の社屋には、次のようなシステムが組み込まれる計画だ。

  • オフィスビル用としては世界最大のソーラーアレイ。施設の電力は100%再生可能エネルギーでまかなわれる。

  • 自然対流を利用した換気システム。年間の3/4の期間はエアコンが不要になる。

  • 敷地の80%を占めるオープンスペースに植えられる7000本の木々。干ばつに強い品種を採用し、水の利用も抑える。

  • 15,000人の従業員の3分の1は、バイオ燃料バス、公共交通機関、自転車、カープール、徒歩で通勤。電気自動車用の電力供給ステーションを300箇所設置。

  • 建物に関する国際環境基準「LEED」への適合


環境面以外でも、全面ガラス張りのファサードや新しいコンクリート部材、手作りのインテリアなど、'Campus 2'には「アップルらしい」デザインがあふれている。


'Campus 2'の建設を通して、アップルは何を目指そうとしているのか。それは、従業員たちの働き方を変え、人々の相互作用を変え、創造の限界を拡大することだという。スティーブ・ジョブスは生前、'Campus 2'の設計を担当する建築家・ノーマン・フォスターにこう言っている。「この建物は、クライアントを楽しますためのものじゃない。中で働く人々のための建物にしたいんだ。」奇抜なデザインや最先端の機能、環境への最大の配慮は、それ自身がゴールではない。新しい働き方を実現するための手段なのだ。


「世界最高のオフィスビルを作る」ーーーーースティーブ・ジョブスの思いは、'Campus 2'を通じて、これからもアップルで働く人々にインスピレーションを与え、そのクリエイティブネスを支え続けるのだろう。

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