サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

サイエンスのこと・テクノロジーのこと・ビジュアリゼーションのこと

薄くて曲がる、まるで紙のようなLED照明:Lightpaper by Rohinni

f:id:yasuda0404:20150102142145j:plain

 

瞬く間に普及したLED照明。小さく、軽く、効率のよい照明は、街や職場、家、電子機器などさまざまな場所で使われている。(LEDの「無機的な色」が気に入らない、という人もいるだろうが、他のメリットを考えてそこは大目に見ることにしよう。)しかし人類の欲望はとどまることをしらないようだ。現在のLEDよりも、もっと薄くて軽い照明があれば、もっと世の中が良くなるのに!そう思ってしまうのだ。

 

でもそんな無理な注文をかなえてくれそうな照明が登場した。Rohinniが開発したLightpaperは、その名の通り「光る紙」。薄く、フレキシブルなシートの全面が発光する、夢のような照明デバイスだ。

 


What if light was printable... Introducing LightPaper ...

 

薄膜LEDといえば、以前は有機ELが有望だった。しかし有機ELは製造コスト(歩留まり)や寿命といった問題で、本格的な実用化にはいたっていない。SONYが世界に先駆けて販売した有機ELディスプレイも、残念ながら生産を終了した。

 

Lightpaperは有機ELではなく、一般的なLEDを用いている。赤血球大の微小なLEDをインクと混ぜあわせ、3Dプリンターで導電性のシートに印刷したものだ。(正確には、それをさらに別なシートで挟み込んでシールしている)。現在の課題は、LEDをいかに均一に分布させるか、ということ。分布が偏ると光の濃淡となってあらわれてしまう。しかし、たいていのアプリケーションでは厳密な均一性は求められないため、現状でも十分実用的だ、とメーカーは考えている。

 

Rohinniのターゲットは幅広い。モバイル機器や車、インテリアなど、この新しいデバイスが「風景を変える」可能性がある場所はすべて視野に入っている、とRohinniのCMO、ニック・スムートは言う。「Lightpaperは、『光のプラットフォーム』というようなものです。私たちも、このデバイスがどう使われるのか、まったく想像がつかないんです。少なくとも言えることは、Lightpaperは、これまでの照明の制約をとりはらってくれる、ということです。」

 

Lightpaperが市場に出るのは2015年の中頃の予定。一年後のクリスマスや年末・年始の風景は、今年とはかなり違ったものになるのだろうか。

 

http://i.dailymail.co.uk/i/gif/2014/12/30/a014c1baac5075e0c891ebb7400f497a7572e639.gif

 

 

copyright(c) 2008-, Atsuhiko Yasuda All Rights Reserved.