ショッキングな可視化だ。
英紙ガーディアンが公開した"The Counted: People killed by the Police in the US"は、今年、米国で警察によって殺された人のデータベース。
サイトでは、人種や州別の人数といった総括的なデータが可視化されている。たとえば人種別の数をみると、殺害されたアフリカ系アメリカ人の数は白人の半分程度だが、米国の白人の割合は約70%、アフリカ系は約12%であることを考えると、やはり殺害されたアフリカ系アメリカ人の数は多いことがわかる。また、人口あたりの「殺された」人数では、オクラホマ州が飛び抜けている、米国全体では毎月90人前後、すなわち毎日平均約3人が、警察によって命を奪われている、といったようなことが読み取れる。
全体的なデータだけでなく、「殺された」人に関する詳しい情報ーーーーー名前や年齢、武器携帯の有無、管轄警察、報告された罪状、殺された時の状況などーーーーーも知ることができる。サイトに並んだ顔写真の中にはスナップショットや微笑んだ顔もある。
'The Counted'に使われたデータは、警察やその他の公的機関が公開したものではなく、ガーディアンがクラウドソースなどから独自に入手・整理したものだ。そして、このデータは公開されていて、誰でもダウンロードできる。
危険を未然に防ぐ手段として武器を使うこと、そしてその結果、相手の命を奪うことは、違法ではないかもしれない。しかし、より強力な組織と武器を持つ警察が、現場で本当に武器を使わざるを得なかったのか、という疑問は、米国内でしだいに強くなっているようだ。
市民から発信されたオープンデータが、市民が公権力について考え、何かを変えるきっかけになるかもしれない。