サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

サイエンスのこと・テクノロジーのこと・ビジュアリゼーションのこと

2012-01-01から1年間の記事一覧

ニュースをビジュアルに伝える通信社:Graphic News

米国の全国紙、USA Todayの各セクションのトップページには小さなインフォグラフィクスが載っている。漫画風のイラストでデータをわかりやすく表現したコーナーは、英語に苦労していた駐在時代の良い教材でもあった。僕がインフォグラフィクスに興味を持った…

原子力発電が増えると社会はどうなるのか:Data-mining with OECD Database

政治家は、原子力発電を停めると経済は大変なことになる、と言う。電力会社は、原発が再稼働しなければ電気料金を値上げするしかない、と言う。でもちょっと待て。アメリカやイギリスは日本より原子力発電の割合が低いし、さらに原子力発電の比率が低い国も…

衆院選を可視化する:小選挙区勢力図

昨日、衆議院議員の選挙速報を見ながら上の図を作ってみた。全国の小選挙区当選者を政党別に可視化した図だ。今回は可視化に頼る必要もなく、日本を代表する保守政党の圧勝だった。予想はされていたとは言え、ここまで圧倒的な議席数を獲得するとは意外であ…

世界のユーザーがひとつの映像タイムラインを作る:TRAVITA

この地球上では、70億人が日々暮らしを営んでいる。そのうち、知っている人はほんの一握りでしかない。見知らぬ街に住む見知らぬ人は、何を見、何をしているのだろうか。もしそれを知ることができたら、世の中の風景が少し変わって見えるだろうか。そんな…

ローリング・ストーンズ50年の「軌跡」:50 Years of concerts of the Rolling Stones

今年、結成50周年を迎えた、ローリング・ストーンズ。50年間同じバンドを続けてきたこともすごいが、もっとすごいのは、今だにライブ(コンサート)を行なっていることだ。しかも、最近、より精力的にコンサート・ツアーを展開している。 その、ロックの…

ゲームで作るインスタレーション:Lunar Trails

「ルナー・ランダー(月着陸船)」と聞くと、ある年齢層の人は、すぐにゲームを思い出すだろう。 パソコンと言う言葉もまだなかったころ、8ビットCPUのコンピュータでBASIC言語のゲームを楽しんでいた世代にとって、ルナーランダーはある種の「通過儀礼」…

街中の人の歩行を可視化する:City of Melbourne, 24PM

街を作っているのは人である。人をヒトたらしめているのは「歩く」ことだ。であれば、街の姿を見ようと思えば、人の歩行を見れば良い。 そんな論理展開かどうかはわからないが、オーストラリアのメルボルンでは市街にセンサーを設置し、歩行者の数をカウント…

近未来のコラボレーション:The Future of Collaboration by J.R.Schmidt

AR(Augmented Reality 拡張現実)やMR(Mixed Reality 複合現実)の技術が急速に進み、世の中には新しいUI(ユーザー・インタフェース)、UX(ユーザー・エクスペリエンス)が数多く提案されている。様々な考え方がある中で共通するのは、人間がコンピュータに…

雨音で心を落ち着かせてくれるアプリ:Rainy Mood

物心ついた時から、雨の日が好きだった。雨の音は心を落ち着かせてくれた。でも、なぜか雨の日が好きな人が自分以外にいるとは、考えたことがなかった。だからずっと、雨の日が好きなことは、誰にも言わずにいた。Rainymoodは、雨の音を再生するだけのアプリ…

ゲーム+ミュージック+可視化=新しいエンターテイメント:Groove Coaster Zero

可視化のリサーチをする中で偶然、興味深いゲームに出会った。Groove Coaster Zero(グルーブコースターゼロ)なるiPhone/iPadアプリだ。Groove Coaster Zeroはいたってシンプルなゲーム。ユーザーは一本のラインにそってバーチャル空間を飛行する。ところど…

無限ジュークボックス:The Infinite Jukebox

iPhoneを使うようになって、普段音楽を聴く機会が増えた。最初は持っているアルバムをiPhoneに入れて聴いていたが、好きな曲だけ聞きたくなってプレイリストもいくつか作った。この先さらにエスカレートすると、好きな曲だけをエンドレスで聴きたい、と言う…

過去120年間の台風を可視化する:Hurricanes Since 1981

先日ニューヨークを襲ったハリケーンは、連日ニュースで報じられた。そのめったにない自然災害を予感していたかのような可視化が、英Guardian紙のデータブログにこの夏投稿されている。"Hurricanes Since 1891(1891年以降のハリケーン)"だ。米国海洋大気局…

10万個の星を可視化する:Google "Stars"

Google Experimentにアップされた"Stars"は、銀河系の10万個の星を可視化したコンテンツだ。左上の再生ボタンを押すと、太陽からの宇宙旅行が始まる。太陽系、ボイジャー1号の現在地、1光年、オールトの雲、太陽系近隣の恒星、銀河全体まで、シームレス…

料理でデータを可視化する:Data Cuisine

前回のブログ(可視化のメディアはもっと自由だ - サイエンスメディアな日々、インフォグラフィクスな日々)で、データ可視化はもっと自由な発想で行えると書いた。実際、様々な取り組みが行われている。その中でもとりわけユニークなのが、フィンランドで活…

可視化のメディアはもっと自由だ

可視化を行うとき、まず考えるのは、どんなデータを使うか、そのデータをどう整理して、どんなデザインで表現するか、と言うことだろう。しかし、もうひとつ、普段忘れがちな、より根本的な視点がある。どんなメディア(媒体)を使うか、と言う視点だ。可視…

データの視覚化とインフォグラフィクス

「ニューヨークタイムズ日曜版一部に掲載されている情報量は、ルネサンス時代に一人の人間が一生かけて出会う情報量より多い。」(Richard Saul Wurman “Information Anxiety”) Googleが把握しているURLリンクの数は1兆個を越えた。(Google公式ブログ 200…

100年間の映画史ポスター

アメリカ映画通ならきっと欲しくなるポスター。それが、"The History of Film"だ。 「映画の歴史」と言う名前のとおり、1910年代の映画黎明期から現在まで100年間にわたり、2000を超える映画の題名を20のジャンルにわけてプロットしたものだ。ピックアップさ…

目立たないが大切な研究開発を伝えること

ここ数日、新聞などで地盤のリスクが話題になっている。土砂災害のおそれがある山間部や、崩壊の危険性が高い宅地を「可視化」した地図も公開された。このニュースを見て一年前に取材したサイエンスニュースを思い出した。シリーズ学協会の提言 地盤工学会だ…

人体が作る美:Made by Humans by Matt Pyke

デジタルの時代になっても、いや、デジタルの時代だからこそ、人間的なものが求められる。とりわけ、人間そのものはどんな科学技術をもっても完璧に模倣することができない。人間の動きは究極の科学であり、同時に究極の美でもある。Matt Pykeの"Made by Hum…

おしっこダイアグラム:Urine Wheel by Ullrich Pinder, 1506

健康診断では定番の検尿。様々な成分が含まれる尿が健康状態のバロメータであることは、かなり昔から知られていたようだ。 上の円環図は1506年、Ullrich Pinderによって描かれたもの。その目的は、おしっこの色、匂い、味から、病気を診断すること。正真正銘…

可視化手法の周期表:Periodic Table of Visualization Methods

可視化の手法をまとめたものはあまたあれど、これはなかなかユニークだ。"Periodic Table of Visualization Methods(可視化手法の周期表)"なるインタラクティブコンテンツ、一件普通の周期表に見えるが、よく見るとひとつひとつの「元素」は、可視化手法を…

協調するロボットたち:Swarm Robots cooperate with AR Drone

自分の目で見えるものは限られる。 もっと、視野を広げるにはどうすればよいか。ひとつの方法は、他の人に見てもらうことだ。より高居場所からその場所を俯瞰できる人に頼めば、より効果があるだろう。これは特に斬新なアイデアと言うわけではない。しかし、…

インパクトあるHIVウィルスの可視化:Human Immunodeficiency Virus model

よく理解できないが、感覚に突き刺さってくる。人類が何かを初めて見るとき、そこには驚きを超えた、言葉にはできない感覚があるのだろう。そういう感覚を、この奇妙な「オブジェ」は与えているような気がする。 このオブジェの正体は、100編を超える、X…

航空機の居場所を神の目から見る:Flightradar24

データのリアルタイムな取得・分析が求められる代表例が、航空管制だろう。刻一刻と変わる航空機の位置を把握し、計画と比較して適切な指示を出さねばならない。迅速で正確なデータの取得・表示・理解が求められる。一般人は本物の航空管制の情報を得ること…

ノーベル賞の秘密:The Secret Fomula To Win Noel Prize by BBC

山中教授のノーベル医学・生理学賞受賞は、日本にとってひさしぶりの明るいニュースだ。iPS細胞という世紀の発見、発見から受賞までの早さ、山中教授の若さ、どれをとっても普通のノーベル賞とは違う、特別な受賞だと思う。しかし何にもまして、山中教授のか…

javascriptで描くアート:Ablaze.js

コンピュータで絵を描きたいと言うのはコンピュータの黎明期から続く自然な欲求で、いまだに新しい試みが続いている。近年のハード、ソフトの進化とともにその完成度と操作性は急速に高まり、プログラミングやアートの知識・経験がなくても使えるアプリも生…

モバイル機器の訴訟合戦:Fighters in Patent War by New York Times

社会を可視化し続けるNewYorkTimesらしいインフォグラフィクス、"Fighters in Patent War(特許戦争の戦士)"は、世界のモバイル機器メーカーの、特許訴訟関係を図示したものだ。戦士として登場するのは、Apple、Motrola、Nokia、Sony、Sumsung、LG、HTCなど…

Appleの歴史:The Insanely Great History of Apple's History

”The Insanely Great History of Apple"は、その名の通り、Appleが作ってきたハードウェアの歴史がひと目で分かるインフォグラフィクス。この手の物は他にもあるが、各ハードウェアの微妙な違いを表すイラストと、ハードウェアの系統を表す色分けがユニーク…

雲の営みに魅了される:Cloud Globe

Chrome Experimentが、また面白い可視化コンテンツを公開している。"Cloud Globe"という名前のこのコンテンツは、2010年7月1日から2012年9月12日までの地球上の雲の動きを、インタラクティブなアニメーションで表示するものだ。 小気味よいデザインと、リア…

ウェブ・インフォグラフィクスの新時代?:Imigration in America

マクルーハンが「メディアは模倣する」と述べたように、新しく登場したメディアは、従前のメディアの代用として現れる。例えば、映画の黎明期、フィルムに映っていたのは演劇だった。テレビが放送を始めた時、人々はお茶の間で映画を楽しんだ。やがてそれら…

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