サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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可視化・視覚化

県民性の隠れた相関を探る:都道府県別統計とランキングで見る県民性

県民性の違いをテーマにしたテレビのバラエティ番組があるが、結構面白い。自分が育った地域では当たり前と思っていたことが、他の場所では奇異だったりする。僕は生まれてから大学院を修了するまで関西にいて、その後東京の会社に就職した。関西人にしては…

人混みシミュレーション:Aggregate Dynamics for Dense Crowd Simulation

2009年のSIIGRAPH Asiaに掲載された、"Aggregate Dynamics for Dense Crowd Simulation(人混みシミュレーションのための集合体力学)"は、「人混み」と言う、物理と人間のはざまにある現象をシミュレーションで再現するものだ。このシミュレーションのポイン…

自動翻訳は文学を扱えるか?:Google Translateの実験

CDZAのクリップのアイデアを参考にして、Google翻訳を使って実験してみた。日本の文学作品の冒頭をGoogle翻訳で英語に翻訳して、その英文を再度Google翻訳で日本語に変換するとどうなるか?と言う実験だ。まず、太宰治の「斜陽」。 【原文】朝、食堂でスウプ…

飲み物にはどれくらい砂糖が入っているのか?:「名古屋発!親子のための運動と食事」の投稿より

今日の可視化は、とてもオーソドックスな方法だが、インパクトが大きい。特に僕のような「メタボ予備軍…と言うか、今や「メタボ正規軍」にとっては。上の写真は、普段飲んでいる飲み物に、スティックシュガー何本分の砂糖が入っているかを可視化したもの。「…

データジャーナリズムとデータの可視化:David McCandless's TED talk

可視化とは、私たちが気がついていないものを見せてくれる方法だ。その重要な適用分野のひとつが、ジャーナリズムの世界だろう。データ・ジャーナリズムと可視化の組み合わせは、世界に対する認識を大きく変える予感がする。ジャーナリストであるデビッド・…

世界のユーザーがひとつの映像タイムラインを作る:TRAVITA

この地球上では、70億人が日々暮らしを営んでいる。そのうち、知っている人はほんの一握りでしかない。見知らぬ街に住む見知らぬ人は、何を見、何をしているのだろうか。もしそれを知ることができたら、世の中の風景が少し変わって見えるだろうか。そんな…

ゲームで作るインスタレーション:Lunar Trails

「ルナー・ランダー(月着陸船)」と聞くと、ある年齢層の人は、すぐにゲームを思い出すだろう。 パソコンと言う言葉もまだなかったころ、8ビットCPUのコンピュータでBASIC言語のゲームを楽しんでいた世代にとって、ルナーランダーはある種の「通過儀礼」…

ゲーム+ミュージック+可視化=新しいエンターテイメント:Groove Coaster Zero

可視化のリサーチをする中で偶然、興味深いゲームに出会った。Groove Coaster Zero(グルーブコースターゼロ)なるiPhone/iPadアプリだ。Groove Coaster Zeroはいたってシンプルなゲーム。ユーザーは一本のラインにそってバーチャル空間を飛行する。ところど…

10万個の星を可視化する:Google "Stars"

Google Experimentにアップされた"Stars"は、銀河系の10万個の星を可視化したコンテンツだ。左上の再生ボタンを押すと、太陽からの宇宙旅行が始まる。太陽系、ボイジャー1号の現在地、1光年、オールトの雲、太陽系近隣の恒星、銀河全体まで、シームレス…

料理でデータを可視化する:Data Cuisine

前回のブログ(可視化のメディアはもっと自由だ - サイエンスメディアな日々、インフォグラフィクスな日々)で、データ可視化はもっと自由な発想で行えると書いた。実際、様々な取り組みが行われている。その中でもとりわけユニークなのが、フィンランドで活…

可視化のメディアはもっと自由だ

可視化を行うとき、まず考えるのは、どんなデータを使うか、そのデータをどう整理して、どんなデザインで表現するか、と言うことだろう。しかし、もうひとつ、普段忘れがちな、より根本的な視点がある。どんなメディア(媒体)を使うか、と言う視点だ。可視…

データの視覚化とインフォグラフィクス

「ニューヨークタイムズ日曜版一部に掲載されている情報量は、ルネサンス時代に一人の人間が一生かけて出会う情報量より多い。」(Richard Saul Wurman “Information Anxiety”) Googleが把握しているURLリンクの数は1兆個を越えた。(Google公式ブログ 200…

協調するロボットたち:Swarm Robots cooperate with AR Drone

自分の目で見えるものは限られる。 もっと、視野を広げるにはどうすればよいか。ひとつの方法は、他の人に見てもらうことだ。より高居場所からその場所を俯瞰できる人に頼めば、より効果があるだろう。これは特に斬新なアイデアと言うわけではない。しかし、…

インパクトあるHIVウィルスの可視化:Human Immunodeficiency Virus model

よく理解できないが、感覚に突き刺さってくる。人類が何かを初めて見るとき、そこには驚きを超えた、言葉にはできない感覚があるのだろう。そういう感覚を、この奇妙な「オブジェ」は与えているような気がする。 このオブジェの正体は、100編を超える、X…

航空機の居場所を神の目から見る:Flightradar24

データのリアルタイムな取得・分析が求められる代表例が、航空管制だろう。刻一刻と変わる航空機の位置を把握し、計画と比較して適切な指示を出さねばならない。迅速で正確なデータの取得・表示・理解が求められる。一般人は本物の航空管制の情報を得ること…

雲の営みに魅了される:Cloud Globe

Chrome Experimentが、また面白い可視化コンテンツを公開している。"Cloud Globe"という名前のこのコンテンツは、2010年7月1日から2012年9月12日までの地球上の雲の動きを、インタラクティブなアニメーションで表示するものだ。 小気味よいデザインと、リア…

重なりあうフラットケーブルのような脳神経の構造:NIHの拡散スペクトラム・イメージング画像

米国国立衛生研究所(NIH)が可視化した脳の構造は驚くべきものだ。神経線維はフラットな束となって折り重なりあい、まるでハードディスクの「リボンケーブル」のようだ。しかも、各束は並行か垂直のいずれかで整然と重なり合っている。脳は、神経線維の巨大…

大気汚染を可視化する草の根活動:FLOAT Beijing

大気汚染は大都市がかかえる問題の一つだ。特に急速に発展している都市の多くは、大気汚染の正確な状況さえ把握できていない。例えば北京は、特に大気汚染が深刻な都市のひとつだと言う。カーネギーメロンとハーバードに在籍する二人の大学生が立ち上げた「F…

素因数分解を可視化する:SOSU

ある正の整数を素数の積に分解することを「素因数分解」と言う。「昔、数学の授業でやったな」と言う程度の人も多いだろう。素因数分解を知っているとどれくらい役に立つかと聞かれると、良い答えは見つからない。多分、暗号解読には役立つんじゃないかな、…

地球を覆う雲のダイナミックな変化:One Year of Clouds Covering the Earth

地球の全表面の6割は常に雲で覆われているそうだ。「青い地球」のイメージからして、雲の量はもう少し控えめなんじゃないかと思ったが、これを見て納得した。"One Year of Clouds Covering the Earth"は、NASAのEarth Observationsプロジェクトの観測データ…

あらゆるデータを比較する試み:FindTheBest

先日、FindTheBestがウェブ埋め込みのウィジェットとWordPressプラグインを公開した。FindTheBestは「バイアスがかかっていない、データ指向の比較("Unbiased, Data-driven Comparison")」を標榜する、データ比較に特化したビジネスを展開するスタートアッ…

太平洋を漂う震災がれきを可視化する:Tracking Japan's Tsunami Debris

3.11の大震災で発生したがれきの多くが海に流れ、海流に乗って太平洋を漂流している。その様子をアメリカ海洋大気庁(NOAA)が、コンピュータ・シミュレーションと人工衛星による観測を組み合わせてトラッキングしている。上の映像はモデル計算の可視化だ。…

周辺視野を利用した没入感のある映像システム:"Infinity-by-Nine" by M.I.T.

先日、MITメディアラボが開発した"Infinity-by-Nine"がネットで話題になっていた。マルチプロジェクションによるミニCAVE(ケイブ)のように見えるシステムは、左右と上に「周辺視野」映像を投影し、没入感の高い体験を提供するというもの。「周辺視野」の映…

NASAの英知を結集した、スケールの大きな可視化映像:Dynamic Earth by NASA

太陽の発する光と放射線は常に地球に降り注ぎ、それによって、海流や気候など、現在の地球上の営みが支えられている。太陽から地球まで、すべての自然の営みは深く関係しているのだ。そんな自然の営みを解明する様々なシミュレーション計算を、ひとつにまと…

ピザの宅配ルートの美しい可視化:America Revealed, Pizza Delivery

PBS UKで、"America Revealed"と言う番組の放送が始まった。BBCの素晴らしいドキュメンタリー"Britain from Above"を下敷きにした、情報・データの可視化を積極的に取り入れた新シリーズだ。アイゼンハワー、カウボーイ、養蜂家、Facebookのエンジニア、未来…

サイバー攻撃を近未来的に可視化する:NICT DAEDALUS

独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が開発したDAEDALUSが話題になっている。NICTでは以前からサイバー攻撃の可視化を行うNICTERと言うシステムを開発しているが、DAEALUSはNICTERをベースにしたサイバー攻撃アラートシステム。 NICTERは、ダークネット(…

データの可視化のデータを可視化する:data visualization reference network

インフォビズ、データビジュアリゼーション、インフォグラフィクス、インタラクティブ、インフォメーションデザイン、データビズ………。データの可視化に関係する言葉は様々であり、その種類も増加している。加えて、データ可視化は学際的な分野としてその存在…

緑が多いところに住めば、金持ちになれる?: GoogleEarthを使ったデータ・マイニングの可能性

公園や街路樹、庭など、都会を見渡すと意外に緑が多い。特に都会や高級住宅街と呼ばれるところほど意識して緑を作っている。おそらく多くの人もそう感じているだろうし、自分自身の体感でもそう思う。しかし、それが客観的な事実であることを調べるには、裏…

産まれたばかりの赤ちゃんの脳は、ものを触ることで発達する?:新生児の脳の可視化

近年、日本では早産児や低出生体重児の割合が増加している。ダイエットの行き過ぎなども指摘されるが、早産児や低出生体重児に障害が残らないよう、出生後の脳の発達を助けるケアが必要だ。しかし、実は新生児の脳全体の活動は、まだほとんど体系的に計測さ…

宇宙の果てを見る:6df Galaxy Survey

赤方偏移とは、高速に遠ざかる物体から放たれる光の波長が長くなる現象のこと。要するに、ドップラー効果の光版だ。光の波長が長くなると光の色が赤色側にずれるので、赤方偏移と呼ばれる。赤方偏移を観測すれば、宇宙の星々や銀河が遠ざかる速さがわかり、…

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