150年間現役で使われているインフォグラフィクスがあります。
1858年にヘンリー・グレイが著した、"Gray's Anatomy"(「グレイ解剖書」)と言う学術書です。現在第40版を重ねる本書は、今でも解剖学の「バイブル」として世界中で使われています。ほぼ全頁が人間の体のイラストで構成され、文字はごくわずか。僕のような門外漢にも、人体の美しいイラストとして鑑賞できるような魅力があります。これほどビジュアルにあふれた学術書はないのではないでしょうか。
かつて養老孟司氏が、「解剖学は言葉では表現できない。画像でしか伝えられない。」と言われたように、解剖学はもっとも視覚化を活用してきた分野だと言えるでしょう。例えば、心臓の繊細な形状や血管の複雑な広がり、脳の多層構造など、言葉で伝えようがないものばかりです。
現在、医療の最前線ではMRIやPETなどの画像診断技術がなくてはならない技術になっています。
Gray's Anatomyが開拓した科学的なインフォグラフィクスのアプローチと、最先端のテクノロジーが融合して、21世紀の"Gray's Anatomy"として進化をとげるのかもしれません。
そんな新しいインフォグラフィクスを創りたいものです。