この写真、なんだか分かるでしょうか?なんだか凸凹した物体ですね。下側の写真は流れを可視化したものだと言うことはわかる人も多いと思います。でも何の流れなんでしょうか。
実はこの凸凹した物体、トンボのハネなのだそうです。(出典:ネイチャーテック・すごい自然のショールーム)
トンボは空中をすいすい、と自由に飛んでいます。ある時はスピーディーにある時はホバリングして、飛行する生物の中でもその飛行能力の高さはピカイチ。
しかし、どのようなしくみで、こんなに自由に飛ぶことができるのか。そんな身近なことが、現代科学でもまだよくわかっていないのです。
昨年末から「自然に学ぶ科学技術」と言うテーマの科学番組を作っています。この中で「トンボの羽をヒントにした風力発電」を東北大学の石田秀輝教授に取材しました。「ネイチャーテック」と呼ばれる、自然や生物に学ぶ科学技術、そして環境と調和したライフスタイルを提唱する、この分野のリーダーです。
そして、石田教授とともにトンボのハネの空力特性を研究しているのが、日本文理大学の小幡章教授。独自に開発した可視化装置で、トンボのハネをすぎる流れを眼に見える形にしたのです。その成果が上の写真。トンボのハネの凸凹から多数の渦が発生し、それがハネにまとわりつく空気を追い払うと同時にハネの形を「整え」揚力を大きくしている。そして、急な加減速、方向転換でも、トンボのハネはまわりの空気の流れの変化をうけにくいそうです。
こんな、現代の科学技術でもできないようなすごいしくみを、古代からいる昆虫であるトンボが持っているのです!
石田教授と小幡教授はトンボのハネのしくみを使って、小さな空気の流れでも回転する風力発電機を開発しています。これができれば、家庭でも風力発電が行える。社会の姿が大きく変わるかもしれません。
今回の番組取材では、生物や自然の持つすごい力に驚くばかり。他にもたくさん書きたいネタがあるので、またブログでも紹介したいと思います。