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Dysonエンジニアのしゃれた実験〜Dyson air multiplier

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「羽根のない扇風機」として話題になった、Dyson社のAir Multiplier。先日、電気店で実物を見てきました。思ったより小さくて華奢な筐体と、さすがDysonと言う感じのシンプルで未来的なデザインが、他の扇風機とは一線を画す存在感を出していました。(そもそも「扇」風機と呼んで良いのかと言う疑問もありますが。)

Air Multiplierが採用した技術は、本体支柱から取り込んだ空気を円筒の周囲にある細いスリットから噴出することで、周囲の空気の流れを巻き込んで流量を増やす、と言うしくみ。これはジェットエンジン等に使われている「エジェクタ」と同じ原理。実際ジェットエンジンの推力ノズルにこのエジェクタを利用して推力をあげているものもあります。

技術論はさておき、Dysonの技術者がAir Multiplierを使っておこなった「実験」がおもしろい。複数Air Multiplierを並べて、風船を運ぶと言うものなんですが、ピタゴラスイッチ的な洗練された遊び、と言う雰囲気が素敵です。
単なる遊びではなく、書類など軽量物の物流に使うなど、実用的なアプリケーションもできそうです。見た目にもおもしろいし、通路を作ることなく立体的な物流ができるのはかなりのメリットではないでしょうか。

ちなみに訪れた電気店では、節電ブームのために扇風機はほとんど売り切れ状態。Air Multiplierは数少ない「残り物」でした。価格が高すぎるのか、それとも、まだまだ羽根のない扇風機は庶民に信用してもらえないのか...。
新しい市場を切り開く製品は、やはり苦労すると言うことでしょうか。

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