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ゲームコントローラの変遷

http://visual.ly/evolution-video-game-controllers-0

中学生の頃、ATARIのゲーム機が欲しくてたまらなかった。インベーダーゲームをやるにも喫茶店に行って100円払わなければならない時代、家にゲームセンター並のゲーム機を持つと言うことは子どもにとって、ほぼ実現不可能な「大きな夢」だった。そんな頃、コンピュータ雑誌か何かで、まるでゲームセンターのゲームのようなATARIの広告を見て、どうしてアメリカ人に生まれなかったのだろうか、と真剣に悔しかった。
その「大きな夢」は僕の子ども時代には実現しなかったが、今やATARIのゲームとは比較できないくらい高性能なゲーム機が、家電のように当たり前に、家庭に入り込んでいる。今の子どもたちは幸せだ。(と同時に、今の子どもはこれ以上どんな夢を持てるのか、心配にもなる。)

Visuallyに掲載されている、ゲームコントローラの歴史をまとめたインフォグラフィックを見ていると、そんな昔の思い出がよみがえってきた。ATARIの、あの「かっこいい」ジョイスティックは、僕にとって、おそらく今の若者にとってのAKB48よりも輝いて見えていた(少し大げさか)。

このインフォグラフィックを見ていて気になったのが、左上にある、Datasoft inc.の"Le Stick"だ。この棒(Stick)のような物体を左右、前後に傾けて操作するらしい。今のWiiコントローラと同じ発想の製品が、はるか25年も前に発売されていたとは驚きだ。もっとも、"Le Stick"はゲーム用コントローラとしては高価すぎ、対応するゲームも発売されなかったことから「幻のコントローラ」となってしまったようだ。
「先を行きすぎた技術は失敗する」、「ハードだけではなくソフトとの一体開発も必要」と言うよくある失敗事例ではあるが、「とんがったアイデアが与えた衝撃は社会のどこかに残り、やがて社会が追いつく日が来る」、と言う事例でもある。

つまり、20年くらい前の失敗事例を集めれば、必ず今、生かせるアイデアがあるのではないだろうか。どんなにすごいアイデアだと思っても誰かが既に同じ事を考えているもの、と開き直って過去を調べることが、効率よい研究開発リサーチかもしれない。

なんて考えも、もちろん既に世界中でたくさんの人が考えついているだろうけど。

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