サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

サイエンスのこと・テクノロジーのこと・ビジュアリゼーションのこと

サンタは今どこにいるか?〜NORADのサンタ追跡

http://www.noradsanta.org/ja/index.html
野口宇宙飛行士のツイッターで、NORADののサンタ追跡サイトを教えてもらった。NORADとは北米航空宇宙防衛司令部のこと。ミサイル攻撃などからの防衛を担当する、正真正銘の軍事組織だ。
そんなNORADがなぜサンタの追跡をやっているのか。その由来がしゃれている。1955年、地元企業が「サンタ直通電話」のサービスを行った時、NORAD前進であるCONADの司令長官のホットラインに間違い電話がかかってしまった。当時の司令長官ハリー・W・シャウプ大佐は、子どもの間違い電話だと片付けてしまわず、その子の質問に答えるために、サンタが北極から南へむかった形跡がないかレーダーで確かめ、サンタの追跡情報を教えてあげたのだそうだ。それ以来50年以上にわたって、NORADの職員・家族・友人などのボランティア活動によって、世界中の子どもたちからの電話やメールへの対応が続けられている。現在、サンタ追跡サイトへのアクセスは毎年数百万人あると言う。

ボランティアと言っても軍事組織だけあって、サンタの追跡方法は本格的。サイトの解説によると、「『北米警戒システム』のレーダーでサンタの離陸を確認し、静止衛星の赤外線センターを使ってトナカイ「ルドルフ」の移動を追跡。高速デジタルカメラの世界ネットワークでサンタとトナカイの動画を撮影し、最後は戦闘機CF-18がサンタを出迎え、クリスマスイブの夜、各地で共同飛行を行う」、のだそうだ。
サンタの追跡データは、GoogleEarthやGoogleMap上で可視化、TwitterFacebookGoogle+で情報がシェアされ、動画はYouTubeで公開されている。
なんとゴージャスなサンタの追跡!

海外の組織では、このような遊び心あふれる活動を目にすることが多い。職員の人たちは、子どもや地元の人々とのふれあいを心から楽しんでいる。日本でもこんな「洒落た遊び」をやってくれたら、きっとその組織や職員を好きになるだろう。アウトリーチの根本は「真剣な遊び心」ではないだろうか。

一方、僕たち市民は、もし、勇気ある人が組織の古い体質を打ち破って、こんな素敵な「遊び」を行ってくれたら、それを「税金の無駄遣いだ」などと、野暮なことを言うのをやめよう。自分の仕事に誇りを持ち、夢を与えようと努力している人たちに、心から拍手を送ろう。
逆回転し続ける日本の車輪を、少しずつでも正しい回転に戻すためにも。

copyright(c) 2008-, Atsuhiko Yasuda All Rights Reserved.