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国境を越えた新しい市民参加型技術開発の試み:NASA International Space Apps Challenge

http://spaceappschallenge.org/
世界に貢献するツールをみんなで協力して創ろう、と言う市民参加型国際イベントを、NASAが開催する。
'The International Space Apps Challenge'と名付けられたこのイベントは、宇宙探索ミッションや地球上生命の持続的発展に貢献するソフトウェアやハードウェア、しくみを開発しようというもの。科学者・技術者からデザイナー、アーティストまで、世界に貢献しようと言う思いを持っている人なら、誰でも参加できる。開催は4月21、22日の2日間、世界の主要都市(東京もそのひとつ)で開催されるが、オンラインでの参加も可能なようだ。国際宇宙ステーションから宇宙飛行士も参加すると言う。

イベントは"Codeathon(「コデソン」と読むのだろうか)"形式で行われる。"Codeathon"とは、市民が協力(Collaboration)して課題の解決方法を開発(Development)する「マラソン」で、最小のリソースで最大のアウトプットを出す優れた方法だと述べられている。

イベントのカテゴリーは、

  • オープン・ソース・ソフトウェア(OSS
  • オープン・ソース・ハードウェア(OSH)
  • データ可視化
  • 市民科学のプラットフォーム

の4つに分かれており、具体的な課題として、地球の大きさを測るアプリの開発、NASAデータベースをオープン化するAPIの作成、惑星データベースのインターフェース開発、NASA地球観測(Global Observation)サイト上のHTML5アプリ作成、市民科学を支援するハンドヘルド機器の開発、などがリストアップされている。

科学技術と社会の問題がより深刻になっている今、市民参加型イベントも単純な科学普及・啓蒙から、社会の課題を解決する具体的な活動に変わる必要がある。それはたやすいことではないし、その活動に参加するためには、強い意思と知識・経験、才能が必要だと思う。その前にまず最初に興味・関心がなければ、何事も始まらない。
その意味で、技術開発と市民活動を結びつけたこの新しい形のイベントはまさに「チャレンジ」であり、インターネットとオープンソースの時代の市民参加のしくみとしても、その成果が楽しみだ。この流れがこれから世界中で加速する予感がする。

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