PBS UKで、"America Revealed"と言う番組の放送が始まった。BBCの素晴らしいドキュメンタリー"Britain from Above"を下敷きにした、情報・データの可視化を積極的に取り入れた新シリーズだ。
アイゼンハワー、カウボーイ、養蜂家、Facebookのエンジニア、未来学者、太陽光発電の教会、高速道路建設など、個々の人や活動にフォーカスを当てながら、「アメリカ」と言う国家の姿を総体的に描き出そうという番組。ドキュメンタリーとしてのテーマや切り口も大変興味深いが、"Britain from Above"の続編と聞いて期待するのが、やはりデータの可視化シーン。残念ながら日本では本編を見ることはできないが、YouTubeにアップされている動画から、期待にそぐわぬ可視化映像が盛り込まれていることがわかる。
第一回「食料機械(Food Machine)」の冒頭シーン、「ピザ宅配」は、金曜の夜のニューヨークを駆け巡るピザ配達人の動きを、GPSを使って可視化したものだ。ダウンタウンのストリートを疾走するバイクの軌跡が、ダウンタウンに複雑な図形を描いていく。大通りと露地を使い分けながら走る様子や、それぞれの支店がカバーするテリトリーの範囲が、美しい夜景に浮かび上がってくる。
シーンの後半は、ニューヨークで消費されるピザの食材が、どのようなルートを通って運ばれてくるかを可視化している。ニューヨークを含む米国北東部への原料サプライセンターは、ニューヨークの北方コネチカットにあり、このセンターへの個々の材料〜胡椒、マッシュルーム、トマト等は、アメリカ中から集められる。これらのデータも、冷凍貨物車にGPSをとりつけて取得したとのこと。
オレンジ色のニューヨークのストリートマップに、ピザ宅配のブルーのラインが描かれていく様子は、データ可視化と言うことを忘れるほど、ビジュアルコンテンツとしても大変美しい。データ・ビジュアリゼーションと言う手法を使った、アート作品と言っても良いだろう。
いつかこんな映像を作りたい、と言うモチベーションを喚起してくれる作品だ。