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誰が医療費を払っているのか?:US Health Care Spending - Who pays ?

http://www.chcf.org/publications/2012/08/data-viz-hcc-national

国民皆保険の日本と違って、米国では医療保険の加入は必須ではなかった。そのため、特に低所得者層は医療保険をかけない人も多く、大病や大怪我の際、医療費が重荷になるケースも多い。そういう状況の下、政府系保険の拡大もあり、医療保険は徐々に普及してきた。

その様子を可視化したインフォグラフィクスが、”US Health Care Spending - Who pays ?”だ。
縦軸は、医療費の支出項目。各幅が支出の割合を示し、入院費、手術・診療費、処方薬費の順に支払い額が大きいことがわかる。
各項目は、支払い機関によって色分けされている。Private Insuranceは個人保険、Out-Of-Pocketは直接支払い、MedicareとMedicadeは米国政府の公的保険である。

上部のスライダーを動かすと、あるいはアニメーションを再生すると、1960年から2010年まで50年間の支出項目割合と、支払い機関の変化を見ることができる。もっとも大局的な変化は、当初は患者の直接払いが多かった医療費が、徐々に保険による支払へと変わっていることだろう。しかも、Medicare/Medicadeの政府系保険の増加が顕著で、患者の直接支払が減っている。「アメリカは医療費自己負担の国」と言うイメージは、過去のものになりつつあるようだ。

元のデータはこちらにあるが、いちいちPDFを開いて数字をみなくても、大局的なことはこのインフォグラフィクスで把握できるし、そのほうが断然早い。

また、このインタラクティブ・インフォグラフィクスは、シンプルなデザインで、2つの分類と時間軸がわかりやすく、操作しやすい。なかなか良くできていると思う。

情報開示のインフォグラフィクスとして、お手本にしたい作品だ。

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