よく理解できないが、感覚に突き刺さってくる。人類が何かを初めて見るとき、そこには驚きを超えた、言葉にはできない感覚があるのだろう。そういう感覚を、この奇妙な「オブジェ」は与えているような気がする。
このオブジェの正体は、100編を超える、X線と水素核磁気スペクトル法の論文を総合して「可視化」されたHIVウィルスだ。2010年のサイエンス誌ベスト・イラストレーション賞を受賞した、現在、もっとも詳細な、HIVの可視化モデルである。
このHIVウィルスモデルは、2010年にNature Medicineの表紙も飾り、同じ情報をもとに、プラスチック版も作られている(下の写真)。
HIVウィルスを360度好きな角度から観ることができるインタラクティブ版もある。
先日、会社で「サイエンスぬいぐるみ」なるものを作ったが、このHIVウィルスのオブジェは作り物であっても、格段に本格的だ。
かわいくも、グロテスクにも見えるHIVウィルスの姿。まだまだ人間には未知のフロンティアがある。