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ゲームで作るインスタレーション:Lunar Trails

http://seb.ly/work/lunar-trails/
 「ルナー・ランダー(月着陸船)」と聞くと、ある年齢層の人は、すぐにゲームを思い出すだろう。
パソコンと言う言葉もまだなかったころ、8ビットCPUのコンピュータでBASIC言語のゲームを楽しんでいた世代にとって、ルナーランダーはある種の「通過儀礼」的なゲームだったと思う。コンピュータに興味がある人は、とりあえず一度は月に着陸してみなければならない。重力と噴射装置の背後にある運動方程式、キャラクターを使ったアニメーション(今の「アスキーアート」の元祖?)、カーソルキーだけのUI(マウスはまだなかった)。ルナー・ランダーは、コンピュータ少年にとって「正しいゲーム」の基礎が凝縮された、バイブルだった。

そんなノスタルジックな思い出はさておき、ルナー・ランダーをインスタレーションに使った面白い作品がある。"Lunar Trails"というものだ。来場者は、会場に置かれたアーケード型ゲームマシンでルナー・ランダーをプレーできる。同時に、「月着陸」したその軌跡が、隣の巨大な壁面にロボットによって描かれていく。様々に異なる月着陸の軌跡が集まり、壁面に有機的なアート作品が作られていく。

人々による活動をメタの視点から俯瞰し、あらたな意味を抽出する"Lunar Trails"のアプローチ。それはゲームやアートを越えて、幅広くインスピレーションを与えてくれる。

http://seb.ly/work/lunar-trails/
http://seb.ly/work/lunar-trails/

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