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衆院選を可視化する:小選挙区勢力図


昨日、衆議院議員の選挙速報を見ながら上の図を作ってみた。全国の小選挙区当選者を政党別に可視化した図だ。

今回は可視化に頼る必要もなく、日本を代表する保守政党の圧勝だった。予想はされていたとは言え、ここまで圧倒的な議席数を獲得するとは意外である。いわゆる「雪崩現象」は小選挙区制の特性であるし、前回、前々回の選挙も勝利した政党は圧勝している。しかし、今回ほど周囲の人々の言動や自分自身の感覚から来る「民意」と、選挙結果が乖離した選挙は初めてだ。
成熟した2大政党が存在しない日本に、小選挙区制は適切なのだろうか。特定の政党が「安定多数」を取ることが政治の安定ではないと思う。民意の微妙な差が拡大され、選挙の度に雪崩現象的に政権が交代する状況はどう考えても不安定だ。


もうひとつ。各県の小選挙区数を可視化してみた。この図は、各都道府県の国政への影響力を表している。例えば島根や鳥取は2議席しかなく、25議席の東京の10分の1以下の影響力しかない。地方分権と言うけれど、国政への影響度がこんなに違っていて公平・公正な地方分権ができるのだろうか。

今の日本に必要なのは、過去の巨大な権力を復活させることではなく、少数のやる気のある人々が活躍できる世の中を作ることだと思っている。それを実現するには、選挙制度と地方自治の改革が必要ではないだろうか。今回の可視化を見て、そう思った。

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