橋本公(はしもといさお)氏の作品、"Nuclear Explosions 1945-1998"は、1945年から1998年の間に世界で行われた核実験(広島・長崎を含む)をアニメーションで可視化したものだ。データの出典は、スウェーデン国防研究所とストックホルム平和研究機構による同名の報告書である。
1945年、米国ニューメキシコ州で始まった核実験は、アメリカ・ソ連を中心に頻度を増していく。1960年〜70年代の核実験の可視化は、両国の冷戦の軌跡でもある。この2大核保有国に隠れ、イギリスは早くから核実験を始め、定期的に核実験を行なってきたことがわかる。60年代後半から80年代にかけてはフランスの積極的な活動が目立つ。フランスは、通算実験回数で世界第三位の核実験大国だ。中国も1964年の最初の核実験以後、着実に実験を積み重ねている。
映像は、冒頭を除くほとんどを世界地図を俯瞰する構図が続く。14分以上の映像は、光の点滅と無機質なサウンドだけの演出で進んでいく。通常の映像の文法とはまったく違うデータ主導の映像は、その長さを感じることなく、視聴者の目を最後まで釘付けにする。この作品は、ひとつも言葉を使っていない。しかし、どんな言葉よりも雄弁に語っている。
"Nuclear Explosions 1945-1998"は以前からよく知られ、世界中でシェアされてきたが、今回ブログに取り上げたのは、この作品が今日、YouTubeのニュースレターで紹介されていたからだ。その背後にはもちろん、再び広がる核拡散への懸念がある。
橋本氏の作品は素晴らしいが、その続編を作らなければならない世界を望みたくはない。