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絶対計算者の躍進:その数学が戦略を決める

http://islandia.law.yale.edu/ayers/indexbooks.htm

面白くて、怖い。それがこの本の率直な感想だ。
この本は「絶対計算者」の立場から、世の中がいかにデータに支配されているかの具体的な事例を紹介する。
1980年代に作られたワインの価格を予想する式から始まり、野球、クレジットカード会社、カジノ、映画、医療、社会政策まで、様々な分野での「絶対計算者」の勝利と、旧来の専門家の衰退を伝えていく。どの事例もエキサイティングで、知的興奮を覚える。しかし、その一方で、訪れようとしているデータ社会の恐ろしさがじわじわと伝わってくる。

もしこれが全て本当なら(僕には肯定・否定どちらの判断をするにも十分な「データ」はないが)、産業革命以来の、社会的な革命が訪れるかもしれない。これからの世界は2種類の人に別れるだろう。データを利用する者と、データを与えるだけの者の2種類だ。どちらの種類の人間になるかは、これからしばらくの間どう生きるかが、とても重要になるだろう。

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