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易しくなる大統領の言葉:"The State of our Union is ... dumber" by The Guardian

http://www.guardian.co.uk/world/interactive/2013/feb/12/state-of-the-union-reading-level
TheGuradianのインフォグラフィクス、"The State of our Union is ... dumber"は、米国歴代大統領の一般教書演説の言葉の「難しさ」を、"フレッシュ・キンケイド読みやすさ試験(Flesch-Kincaid Readability Test)"(*)によって評価したものだ。点数が高いほど難しい言葉が使われていることを示す。

このインフォグラフィクスを見ると、最近ほど易しい言葉が使われるようになっていることが明らかだ。

歴代で「もっとも易しい」言葉で演説を行ったのは、初代ジョージ・W・ブッシュ大統領。最低スコアは1992年の7.6点だ。各大統領のすべての演説の平均点(ブッシュの場合4回)で比べても初代ブッシュは最低点で、「易しい言葉の演説」と言う視点では、堂々の一位だ。
演説が上手いといわれるオバマ現大統領は第2位。クリントン、ジョンソン、2代目ブッシュと続く。2代目ブッシュのスピーチは良く揶揄されたが、それよりも易しい言葉を使う大統領が4人いることになる。

逆に、史上「もっとも難しい」一般教書演説を行ったのは、1815年のジェームス・マジソン。そのスコアは25.3で、初代ブッシュの3倍以上になる。

また、円の大きさは演説の語数を表す。もっとも語数の多い演説は、1981年のジミー・カーターによる3万33287語。同じカーターの1980年の演説は3400語弱なので、彼にとっても特別長いものだ。実はこの演説はカーターがホワイトハウスを去る直前のものだが、よほど言い残したことがあったのだろうか。

世の中の大きな流れとして、受け手の立場にたった情報発信がより重要になっていることは間違いない。実際、米国の行政機関では、"Plain English"(易しい英語)を使うことが推奨されてきた。一般教書演説も、高尚で風格のあるものから、易しくわかりやすく訴えるものに変わってきているのだろう。

よりわかりやすくという流れの中、近い将来、スピーチだけではなく、映像やアニメーションを使った一般教書演説を見ることもできるのだろうか。

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(*)フレッシュ・キンケイド読みやすさ試験は、0.39 X(全語数/全文数)+11.8 X(全音節数/全文数)という式で文章の読みやすさを評価する。スコアが高いほど難しい文章、低いほど易しい文章を示す。

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