MITのシンシア・ブリジール博士らが開発した’Jibo(ジーボ)'は、「世界初の家庭用ロボット」。「身長」約28cm、「体重」約2.7kgのABSプラスチック製のコンパクトな「体」には、コンピュータとWiFi、LCDスクリーン、カメラ、マイクロフォン、スピーカーなどが埋め込まれ、次のような機能を持っている。
- 見るー2つの高解像度カメラで人の顔を追尾、写真の撮影、ビデオ会話ができる
- 聞くー全方向性マイクと音声認識で、部屋のどこにいてもJiboと話すことができる
- 学ぶー人工知能アルゴリズムで、ユーザの好みを学習
- 助けるーユーザの仕事を予測し、日常のタスクを支援する
- 話すーハンズフリーのリマインダー機能が、やるべきことを教えてくれる
- 交わるー社交的・感情的な動作によって、より深いコミュニケーションができる
Jiboがどんなものなのかは、次の動画を見るのが早いだろう。「家庭用ソーシャル・ロボット」として、Jiboは次のような役割をこなしてくれる。
JIBO: The World's First Family Robot - YouTube
Jiboの最大の目標は「人と交流すること」だが、人間のような顔や手や足は持っていない。「ヒューマノイドロボット」ではないのだ。人が親近感を持つためには、ロボットに生物的・人間的な外観や動きが必要なのでは?と思うかもしれないが、この一見「無機質な」Jiboの形状や動作には、ソーシャルロボットについての長い研究成果が反映されている。
その一端を、ブリジール博士が2010年に行ったTEDトークで知ることできる。ここでは、人とロボットの交流がいまだおこなわれていないという問題意識につづいて、いくつかのソーシャルロボットが紹介されている。その中でも「ミーボット」は、Jiboの原型といえるだろう。ブリジール博士はいくつかの実験結果をもとに、ロボットの表現力を高めることで、ロボットに対する共感や共同意識が強まると述べている。
このトークの冒頭で、博士は、ソーシャル・ロボット開発への思いを次のように述べている。
子どものころ、ロボットが私たちと交流しあい、私たちが信頼できるパートナーとなるというアイデアが大好きでした。私たちを喜ばせ、人生を豊かにしてくれたり、銀河の一つか二つ救う手助けをしてくれるのです。そのようなロボットは実在しないことはしっていましたが、それを作りたいと強く思っていました。
Jiboは現在Indigogoでクラウドファンディング中だが、30日を残してすでに目標額の3倍近くの出資を集めている。支援者へのJiboの初号機出荷は2015年9月の予定。SDKも公開され、ユーザがオリジナルのアプリケーションを開発することもできる。また同時期には、Jiboのカスタマイズも可能な販売サイト「Jibo Store」もオープンする予定だという。