現代は、何をするにも「とりあえずオンライン」。人とつながるより前に、まずネットとつながらなくては何もできない時代だ。さて、「オンライン」になる選択肢としては、現状、有線接続=ケーブルと無線接続=WiFiがある。
有線のケーブルはルーティング作業も、その後、見た目を整えるためにケーブルを「隠す」作業もかなり面倒だ。そもそもモバイルデバイスが主流になった今、有線ケーブルは「レガシー」テクノロジーになりつつある。
無線=WiFiは、このような有線の問題を解決してくれる。導入はすこし面倒だが、一度設定してしまえば、その後の接続は簡単。レイアウトを変えるのも苦にならないし、ネットにつなぎながら自由に動き回れる。しかしその一方で、盗聴や「タダ乗り」といったセキュリティ上の問題がある。また、はっきりとしたことはわからないとはいえ、電波による潜在的な人体への影響が心配だという人も多いだろう。
しかし、事実上、この2つ以外の選択肢がない…のだと思っていたら、こんな機器を見つけた。「ビームキャスター」なるこの機器は、簡単にいえば「光線によるネットワークハブ」。
「ビームキャスター」は、イベントで使うレーザービーム機器のような筐体。これを天井にとりつけ、オフィスや部屋の機器と光線によって、高速で安全な通信を行なう。
「ビームキャスター」は、人間の目には見えない赤外ビームで通信を行う。機器側は「スマートアウトレット」と呼ぶ機器でビームを「受光」し、通信を確立するというしくみだ。
赤外ビームはピンポイントで照射される(レーザー幅は約2ミリ)ので、電波のように第三者が傍受するのは困難だ。現状ビームの出力は20マイクロワット、到達距離は18フィート(6メートル)に抑えられている。レーザー機器の中ではもっとも安全な、クラス1に入るようにするためだ。
なお、モバイル機器は通常イーサネットのポートをもっていないので、「ビームキャスター」と直接接続することはできない。一般的なWiFiルータが必要となる。
その他機器の詳細はホワイトペーパーを見ていただきたい。
速度1Gbps仕様のビームキャスターの価格は7000ドル(8個のスマートアウトレット付き)、5Gbps仕様は8000ドル。昨年の夏ごろから販売されているようだ。将来的には100Gbpsも発売する(価格は12,000ドル)とのこと。
「ビームキャスター」は、機器のレイアウトが頻繁に変わる場所ーーー展示やイベント会場、仮設オフィスーーや、セキュリティがより重視される状況で、高速通信や機動性も満足したいというユーザには、第3の選択肢となるだろう。