複数のプロペラを搭載した飛行体、いわゆる「ドローン」が巷で話題になりはじめたのはついこの前だが、実用的な機体開発はすでに進んでいる。Advanced Tactics社の"AT Black Knight/Panther Transformer"は、その代表的なプロジェクトだろう。
AT Transformerは、ヘリコプターと自走車を組み合わせた技術。その実証機であるAT Black Knight Transformerは先の12月、カリフォルニアで最初の走行実験を完了した。初フライトも近々計画されている。
Black Knightの実用機は、全長9.5m、全幅5.8m、高さ2.4m。Blackhawkヘリコプターと同等の積載容積で、8名を運ぶ能力を持つ。左右4つずつ、計8つのローターで130ノット(時速240km)で自律飛行が可能。最大走行速度は時速120km。
Black Knightの兄弟機"AT Panther'は、全長7m、全幅5.2mと若干小ぶりの機体。ローターも6基とBlack Knightより2基少ない。CV-22オスプレイでの運搬が可能な大きさになっている。
AT Transformerは、小型のドローンと同様に、各ローターはダイレクト・ドライブ方式を採用している。機体の姿勢を保持するよう各エンジンの出力はコンピュータでフィードバック制御され、一部のエンジンが停止した場合でも飛行を続けられる機能を持つ。また、積極的に民生品を取り入れ、低コストを実現している。またモジュール設計によって、フィールドで損小を受けた場合はモジュールを交換し、迅速に復旧できる設計だ。
Pantherは2010年に開発に着手、当初電動モーターで試験が行われ、現在は燃焼エンジンを搭載。4ローターのサブスケールモデルは2012年に飛行試験に成功している。Black Knightは近々初飛行を行い、今年中には必要な実証を行う予定だ。