ワールド・ワイド・ウェブの誕生から、今年で25年。ウェブは自由でオープンな、世界中の人々が信頼する通信プラットフォームになった。インターネットは特定の誰かが所有するものではなく、同時に、不特定の誰もが所有する、現代最大のコミュニケーション・ツールだ。
そのウェブが最近、脅威にさらされている。卑劣な詐欺行為、激化するサイバー攻撃。陰で進む政府のネット検閲や、国家機関のスパイ活動。本来、公開と共有を第一原理とするインターネットが、閉鎖的で独占を認める場所に変わりつつある。これは、インターネットの根幹をゆるがす大変深刻な動きだということを、認識しなければならない。
このような状態を何とかしようと立ち上がったのが、ワールド・ワイド・ウェブを「発明」した、ティム・バーナーズ=リーだ。バーナーズ=リーは、公開と共有を支持ずるパートナーたちと共同で、「ウェブ・ウィ・ウォント(私たちが求めるウェブ)(*)」なるプロジェクトを起ちあげた。このプロジェクトは、文字通り、私たち市民が望むウェブとはどんなものかを一人一人が考え、みんなで議論しようというものだ。その背景には、上で述べたようなウェブの危機があり、ウェブを市民の手に取り戻そうという願いがある。
ウェブは自由でオープンな場所でなければならない。それがウェブの存在意義である。それがなければウェブではない。そう思う人たちが国境を越えてつながり、ウェブを破壊しようとするあらゆる力に立ち向かおうとしている。危機を通じて、ウェブが、新しいコスモポリタンたちの理想の「国家」なることを願う。インターネットを守るのは国家や大企業ではなく、僕たち市民なのだ。
(*)「ウェブ・ウイ・ウォント」=Web We Wantは、略すと、"WWW"になる!