瞬く間に普及したLED照明。小さく、軽く、効率のよい照明は、街や職場、家、電子機器などさまざまな場所で使われている。(LEDの「無機的な色」が気に入らない、という人もいるだろうが、他のメリットを考えてそこは大目に見ることにしよう。)しかし人類の欲望はとどまることをしらないようだ。現在のLEDよりも、もっと薄くて軽い照明があれば、もっと世の中が良くなるのに!そう思ってしまうのだ。
でもそんな無理な注文をかなえてくれそうな照明が登場した。Rohinniが開発したLightpaperは、その名の通り「光る紙」。薄く、フレキシブルなシートの全面が発光する、夢のような照明デバイスだ。
What if light was printable... Introducing LightPaper ...
薄膜LEDといえば、以前は有機ELが有望だった。しかし有機ELは製造コスト(歩留まり)や寿命といった問題で、本格的な実用化にはいたっていない。SONYが世界に先駆けて販売した有機ELディスプレイも、残念ながら生産を終了した。
Lightpaperは有機ELではなく、一般的なLEDを用いている。赤血球大の微小なLEDをインクと混ぜあわせ、3Dプリンターで導電性のシートに印刷したものだ。(正確には、それをさらに別なシートで挟み込んでシールしている)。現在の課題は、LEDをいかに均一に分布させるか、ということ。分布が偏ると光の濃淡となってあらわれてしまう。しかし、たいていのアプリケーションでは厳密な均一性は求められないため、現状でも十分実用的だ、とメーカーは考えている。
Rohinniのターゲットは幅広い。モバイル機器や車、インテリアなど、この新しいデバイスが「風景を変える」可能性がある場所はすべて視野に入っている、とRohinniのCMO、ニック・スムートは言う。「Lightpaperは、『光のプラットフォーム』というようなものです。私たちも、このデバイスがどう使われるのか、まったく想像がつかないんです。少なくとも言えることは、Lightpaperは、これまでの照明の制約をとりはらってくれる、ということです。」
Lightpaperが市場に出るのは2015年の中頃の予定。一年後のクリスマスや年末・年始の風景は、今年とはかなり違ったものになるのだろうか。