東京の通勤・通学は、ストレスがたまる。手を離してもカバンが落ちないくらい密集した車内、線路に落ちそうになる駅のプラットフォーム。毎朝・毎夕、この過酷な体験をしている都会人は、感性が擦り切れても不思議ではない。
台湾のデザイナー、Dear Caiは、このけっして快適とはいえない場所を少しでも楽しい空間に変えようという提案を行った。それが、'FLY'だ。
'FLY'は、車内と駅に設置したカメラと、駅のプラットフォーム上のLEDディスプレイからなる。
車内カメラの画像と顔認識技術で、各車両の混雑度を場所ごとを把握する。各場所の混雑度は、プラットフォームの対応する位置のディスプレイ上に、鳥の絵として表示される。ゆっくり羽ばたく赤い色の鳥は混雑している場所、素早く羽ばたく緑は空いている場所と、鳥のアニメーションによって、乗客は次に来る電車の場所ごとの混み具合を知ることができる。(そして、必要なら移動できるし、少なくとも混んだ車両への「心の準備」はしておける。)
プラットフォーム上の混み具合も、鳥の絵に表現されている。芋虫を加えた鳥は待ち客が100人を越えた状態、300人になると鳥の間に雲が、500人以上が並ぶと噴火する火山の絵が、それぞれLEDディスプレイに表示される。
機能的で、癒されるDear Caiの提案は、日本の都会人のストレスを多少は軽減してくれるだろうか。それとも、日本のラッシュアワーはそんなに甘いものではない、のだろうか…。
’FLY'は、LEXUSデザインアワード2013の受賞作品。