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コンピュータがものに溶け込む時代

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世界的なインタラクション・デザイナー、イヴァン・プピレフが見るIoTの未来。それは、コンピュータが幅を利かせる時代ではなく、あくまでも「ものが主役」の世界だ。

「私たちは毎日、さまざまなものに触れています。コンピュータは、そのほんの一部でしかありません。……ものづくりの世界は、テクノロジーの世界よりはるかに大きく、テクノロジーが、ものづくりを変えることはできません。そうではなく、ものづくりを行っている人たちに『スマートデバイス』を作ってもらえばいいのです。そのためのテクノロジーを作る必要があるのです」。


そう述べるポピレフが紹介する最先端のウェアラブルバイスは、日本の伝統的な機織り職人やロンドンの服職人が、伝統的な手作りの方法をまったく変えることなく、作られたものだ。開発された、細い合金繊維をポリエステルと綿で被覆した糸は、伝統的な素材と、見た目も触感も変わらない。織物職人は今までとまったく同じ作業を行いながら、自然とあたらしいテクノロジーが融合される。テクノロジーは、そっとものの中に入り込み、陰で支えている。


「テクノロジーは、既存のものをより良くするためにあります。既存のものをデジタルライフとつなげ、あたらしい利便性や機能を付け加えることで、もともとの目的はそのまま変えることなく、より良いものになっていくのです」


ユビキタス・コンピューティングの時代とは、既存のさまざまなものがコンピュータに変わる時代、ではない。逆に、コンピュータが既存のさまざまなものに溶け込む時代なのだ。主役はあくまでも「もの」であり、コンピュータは「黒子」になっていく。それが、IoTの進化した未来だ。

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