サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

サイエンスのこと・テクノロジーのこと・ビジュアリゼーションのこと

理不尽さを受け入れることの無意味さ〜日大アメフト部の「大麻事件」に思うこと

日本大学アメリカンフットボール部でおきた「大麻事件」。関東学生アメリカンフットボール連盟が下した判断は「当面の間の出場資格の停止」。その理由として、「逮捕された部員以外に違法薬物を使用したものが存在している疑いが払拭できないこと」という。 …

AIの問題は、AIを受け入れる側の人間の問題ではないだろうか

AIが急激に進化している。画像生成AI(DALL-E、MidJourney、StableDiffusionとその派生モデルなど)や、会話AI(OpenAIのChatGPT、OpenAI/MicrosoftのBing-GPT、GoogleのBART、FacebookのCAIRaokeなど)など、その性能は多くの人に衝撃を与え、期待を抱かせ…

AIは人間の心を持ち始めているのか 〜 Bingチャットボットは別の人格を理解している(らしい)

昨年11月末にOpenAIが公開したチャットボット「ChatGPT」が世界の注目を集めている。大規模言語モデル(GPT-3.5)をベースにしたこの会話型AIは、公開から1週間で100万ユーザー、2ヶ月で1億ユーザーに達した。GPT(の発展型)はMicrosoftのBingにも搭載さ…

新型コロナウィルス「感染者数」への疑問

世界中に混乱を招いている、新型コロナウィルス(COVID-19ウィルス)。日本でも世界でも、メディアは、刻一刻と増え続ける感染者数を伝え、この「未知の脅威」を訴えている。この数週間は、例えばテレビのニュース番組の中で、新型コロナウィルス関連のニュ…

コンピュータがものに溶け込む時代

世界的なインタラクション・デザイナー、イヴァン・プピレフが見るIoTの未来。それは、コンピュータが幅を利かせる時代ではなく、あくまでも「ものが主役」の世界だ。「私たちは毎日、さまざまなものに触れています。コンピュータは、そのほんの一部でしかあ…

政治の腐敗は、国民の暮らしを悪化させる

かなり古い記事だが、2011年のThe Economistに、「"Corrosive corruption - A correlation between corruption and development"(腐敗による没落〜腐敗と発展の相関関係)」という記事がある。世界各国の政治的腐敗の程度と、国民の生活の質との関係を調査…

JSTサイエンス・ニュースに関わってきて

2011年度から続いてきた、科学技術振興機構(JST)のサイエンス・ニュースが、昨年度で終了となった。サイエンス・ニュースは科学技術振興機構(JST)が企画・運営する、ネット配信の科学ニュースで、科学技術の最先端の動向や、科学技術と社会の関わりにあ…

可視化ツールのまとめサイト:dataviz.tools

可視化ツールには様々なものがあるが、数が多すぎて、どれをつかえばいいのか迷ってしまう。結局は知っているものを(多少無理して)使うことになる。本当はもっと便利で、もっと適したツールがあるんじゃないかな、と思いながら。そんな状況を変えてくれそ…

VRが変える情報伝達とものづくりの未来

VRが変える情報伝達とものづくりの未来 from Atsuhiko Yasuda www.slideshare.net昨年は、思いがけずVR(ヴァーチャル・リアリティ)について話す機会に恵まれた。正確に言うと、話す機会はもらったが、「VR」というテーマは、こちらから提案した。講演…

2017年、VRの可能性:10の予測

昨年は、VR(バーチャルリアリティ)に「はまった」一年だった。コンピュータ・グラフィクスとヴィジュアル・プログラミング、そして立体映像に携わる中で、VRへの到達は必然の流れだったのかもしれないが、昨今感じるVRの可能性は、人類の情報伝達に関する…

Best Data Visualization Projects of 2016

Flowing Dataに、"Best Data Visualization Projects of 2016"という記事が出ている。年末らしく、今年の「ベスト可視化サイト」をピックアップしたものだ。flowingdata.com 取り上げられたプロジェクトは、幅広い分野や対象、手法に渡っている。いわゆる「…

MR(混合現実)の可能性:「バーチャルドローンを飛ばそう!」by XOOMS Lab.

今年は「VR(Virtual Reality)元年」と言われる。先日Oculus Riftの商用版が発売され、秋にはSony PS4 VRも発売予定だ。「スマート・グラス」系のウェアラブル機器は、すでに数多く市場に出まわっている。これらのVRデバイスが、ユーザーにあたらしい体験を…

気象衛星ひまわり8号から見える地球

月並みな言葉だが、地球はなんて美しいのだろう。この映像を眺めていると、この星に生まれた偶然に、感謝したくなる。"The Glittering Blue"と名付けられた実験サイトは、気象衛星ひまわり8号が撮影された、2015年8月のある一日の地球の画像を12秒に圧縮した…

データは多面的にみること。これを肝に銘じておかねばならない

データに基づく分析は、一見、客観的で公平に思えるが、そこから導かれる結論は、時に人を誤った方向に導く。データは正しく、分析者に悪意や偏見はなく、分析に間違いがないにもかかわらず、得られた結果を見た人が誤った評価や判断をしてしまう、というこ…

最高のイノベーションマインドは「ばかげたことを面白いと感じ、真剣に考える能力」:'What If' by Randall Munroe

とんでもない質問に、科学と数学(と漫画と体力?)を駆使して、超まじめに回答する本、'What If'。その著者で、ギークたちの圧倒的な支持を得る漫画家(であり、元研究者)が、ランドール・マンローだ。彼のTEDトークには、'What If'の雰囲気がそのまま漂っ…

警察に殺された人々のデータベース The Counted by the Guardian

ショッキングな可視化だ。英紙ガーディアンが公開した"The Counted: People killed by the Police in the US"は、今年、米国で警察によって殺された人のデータベース。 サイトでは、人種や州別の人数といった総括的なデータが可視化されている。たとえば人種…

小惑星のビッグデータ 'Asterank'

私達の太陽系に無数に存在するといわれる小惑星。そんな小惑星の膨大なデータベースが、Asterankだ。 Asterankには60万個を超える小惑星のデータが蓄えられている。それらはNASAなどの既存のデータベースからあつめられただけでなく、科学論文などから質量や…

食品と健康についての研究成果に一喜一憂するのはやめるべし

よく◯◯は体にいい、とか、☓☓を食べると癌になる、といった「研究成果」が発表されて一般メディアでも話題になる。でも、中にはお互いに矛盾するものもある。とにかく健康に関する「知見」や情報はあふれていて、消化しきれない感じがする。 冒頭の図は、各食…

平均値の罠:「シンプソンのパラドックス」

たとえば、ある国の政府がこんな分析結果を公表したとする。> 年収1000万円以上、年収500万円〜1000万円未満、年収500万円以下、どの階層でも平均所得が上がっているこの分析は正しいと仮定して、これだけでこの国全体の平均所得は上がっている、と結論づけ…

デザイナーとは「情報の翻訳家」である

「デザインは新聞を救えるか?」というTEDトークがある。スピーカーのジャチェック・ウツコは、衰退する東ヨーロッパの新聞をデザインの力で変えたデザイナー。「新聞」というメディアは、情報伝達をほとんどテキストにたよってきた。新聞の作り手も読み手も…

量子コンピュータ'D-Wave'開発の経緯:「D-Wave」は、本当に量子コンピューターなのか? WIRED Vol.14

WIRED日本語版 Vol.14で、「NASA、Googleが注目する「D-Wave」は、本当に量子コンピューターなのか? 」の翻訳を担当した。 今までいろいろと話題になってきた’D-Wave’だが、その詳細はよくわかっていない(伝わっていない)と思う。実際のところ、'D-Wave'…

薄くて曲がる、まるで紙のようなLED照明:Lightpaper by Rohinni

瞬く間に普及したLED照明。小さく、軽く、効率のよい照明は、街や職場、家、電子機器などさまざまな場所で使われている。(LEDの「無機的な色」が気に入らない、という人もいるだろうが、他のメリットを考えてそこは大目に見ることにしよう。)しかし人類の…

可視化について思うこと

このブログを始めてもう7年目。今まで年間100本は投稿してきたが、実はこの半年はあまり書かなかった。忙しくなったというわけでもないし、書きたくなかったというほど嫌になったのでもない。ただ、書くという行為にむかわせるほどのモチベーションがわかな…

衆院選挙を可視化する:d3.js

javascriptによる可視化フレームワーク"d3.js"をつかって、衆院選挙結果を可視化してみた。 ベースにしたレイアウトは2年前の衆院選で作成したもの。この時はExcelで作った静止画だったが、今回はd3.jsの機能をつかってインタラクティブ性を加えた。選挙年…

エリック・シュミットが語る「グーグルの働き方」〜 'How Google Works' by Eric Schmidt

Googleの元CEO、エリック・シュミットによる、"How Google Works (グーグルの働き方)"は、すべての「新しいことをやろうとしている人」に、示唆と勇気を与えてくれる素晴らしい指針だと思う。内容はもちろん、絵本のようなデザインもすばらしい。これもま…

「卵子の冷凍保存」は働く女性を救うか?:Apple, Facebook to pay for women to freeze eggs

社会における女性の活用は、世界の潮流だ。あらゆる国、あらゆる仕事で今、女性の活用が期待され、日本もようやく本気で取り組み始めたようだ。しかし、女性がその能力を本当に社会で発揮するには、まださまざまな課題がある。その中でも、あらゆる女性に共…

クアッドコプターで夜空にアートを描く:Spaxels Light Painting from Ars Electronica

クアッドコプターを自在に操って、夜空に絵を描く。そんな技術的にも表現的にも最先端を行くアート・パフォーマンスを展開するクリエーター集団がある。チームの名前、そして彼らがあやつるクアッドコプターは、'Spaxels'と呼ばれている。 Spaxelsはプログラ…

5歳からロボット・プログラミングを楽しめるキュートな教材:Dash & Dot by Wonder Workshop

こんなおもちゃが子供の頃にあったら! 一目見てそう思わずにいられないのが、米国のベンチャー・Wonder Workshopが開発したプログラマブル・ロボット、DashとDotだ。「一つ目小僧」のような、キュートな(?)ボディをもつこのロボット、実は本格的なロボッ…

ほんものの手作り地図:Hand Drawn Maps by Jenni Sparks

イラストレーター、ジェニー・スパークスの地図は「100%手書き」。何十年も前なら「普通」の手法だったかもしれないが、コンピュータ・グラフィクスが「普通」となった現代では、かなり斬新に思える。 ジェニーの制作手法のユニークさは「手書き」だけではな…

未来のショッピング:Tomorrow's cities - future of shopping by BBC

英国BBCの記事、'Tomorrow's cities - future of shopping(明日の都市ー未来のショッピング)'は、近未来のショッピングの姿を可視化したもの。そこに描かれた数々のシーンは、けっして空想や願望ではなく、現在開発中のテクノロジーをもとにした、現実的な…

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